研究課題/領域番号 |
21K20191
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 夏実 福島県立医科大学, 保健科学部, 助教 (30910153)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | コミュニケーション / 認知症 / 高齢者 / ケア / BPSD / 介護負担 |
研究実績の概要 |
日本の超高齢化社会に伴い,認知症を合併した入院患者は急増傾向にあることから,臨床現場では,主疾患だけでなく認知症へのケアも求められている.しかし,認知症者特有の行動・心理症状(BPSD)のケアに困難感を抱くスタッフは少なくない.特に本人の生活歴や趣味・興味,思いを理解できないといったコミュニケーションに苦慮を示している.これまで認知症高齢者の生活歴や興味を引き出すコミュニケーションtoolとして色カルタを試行し,認知症者のコミュニケーションを促進させ,BPSDの低減,介護負担の改善に役立つことを明らかにした.本研究の目的は,これらの成果を発展させ,体系的なプログラムの構築および実践マニュアルを開発することである. 今年度は,色カルタの使用経験のあるものをメンバーとした検討委員会による暫定版実施マニュアルの検討を行うための資料として,これまでに撮りためた色カルタを活用した実施場面の様子の動画分析を進めた.色カルタ実施中の参加者同士の交流場面に関して,量と質に注目し分析を進めた結果,回数を重ねるごとに,参加者の発言・発信回数が増え,会話の内容は発話相手の背景を踏まえたものに変化してくことが確認できた.今後,参加者同士の交流場面における会話分析を進めるとともに,検討委員会による協議を開始し,暫定版実施マニュアルを作成する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度当初より,検討委員会を開催するための資料として,これまで撮りためたビデオデータの分析を進めていたが,想定以上の時間を要したため,進捗状況が大幅に遅れている.また,新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種対応により研究時間を十分に確保することが出来なかった.
|
今後の研究の推進方策 |
検討委員会を開催するための資料の作成に伴う動画分析の目途がついたため,これまで遅延していた分の研究課題を進める予定である. 介入研究による効果検証については,新型コロナウイルス感染症の状況好転の兆しが見えず,協力施設におけるデータ収集の配慮・自粛は継続することになる.その際の研究の推進方策として,撮りためたビデオデータを参考に,暫定版実施マニュアルの作成・修正を進めていく.介入研究は,いつ頃から再開できるかによるが,秋までに再開できなれれば研究期間の延長を検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
暫定版実践マニュアル作成に向けた検討委員会を設ける計画であったが,研究計画の遅れや新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種対応によりその計画に遅延が生じた.これにより人件費と物品費が未使用となった.これまで遅延していた研究計画は翌年度中に実施し,未使用分の費用はこれに当てる.
|