研究課題/領域番号 |
21K20201
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
菅 尚子 甲南女子大学, 人間科学部, 講師 (50908168)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 玄米 / 調理加工 / プレバイオティクス |
研究実績の概要 |
玄米を原料として、時間と圧力を変えて穀物膨張機によりパフ加工したサンプルを二種、また時間を調整して焙煎機により焙煎したサンプルを二種作製した。 未加工の玄米と比較して、パフ加工および焙煎加工したものは抗酸化活性および総ポリフェノール量が増加することを確認した。さらに、フロログルシノール法を用いてアラビノキシランの定量を行った。この結果、より高い圧力下でパフ加工したサンプルにおいて、水溶性アラビノキシラン量は未加工の玄米と比較して顕著に増加することを確認した。また、同サンプルは、総フェルラ酸量が10%程度減少したが、水溶性フェルラ酸量は顕著に増加した。一方で、焙煎加工したサンプルでは、水溶性アラビノキシラン量および遊離フェルラ酸量が減少する傾向が認められた。 膨化加工によって不溶性のアラビノキシランの一部が水溶化したことから、膨化加工はプレバイオティクス効果を高めるのに適した加工である可能性が示唆された。今後は、膨化加工した玄米サンプルを用いて、プロバイオティクス菌の増殖や代謝物に与える影響について検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初は、炊飯玄米も加工サンプルとする予定であったが、炊飯加工したサンプルは分析前に凍結乾燥する工程が入るため、正確な玄米加工品としての評価が難しいと考えられた。そこで、膨化と焙煎に絞り、サンプルを作製し、プレバイオティクス効果が期待される成分量の変化について検証を進めた。この結果、膨化加工によって水溶性アラビノキシランおよび遊離フェルラ酸が未加工の玄米と比較して増加することを確認できたことから、おおむね計画通りに進行したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
玄米加工サンプルのプレバイオティクスとしての評価を行う。 (1) 乳酸菌などのプロバイオティクス菌に対する増殖促進作用について検証する。 (2) 玄米加工サンプルとプロバイオティクス菌を共に培養した際の代謝産物の量を測定する。 (3) 上記培養上清をマクロファージ様細胞株(RAW264.7)の培地中に添加し、細胞の一酸化窒素産生量を測定することで、腸内細菌叢を介した免疫細胞活性化能について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初購入予定であった機器の一部について、研究協力者が所有しているものを使用でき、購入が不要となったため。 R4年度プロバイオティクス菌の購入等に充足する予定である。
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