研究課題/領域番号 |
21K20202
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
中村 秀郷 西南学院大学, 人間科学部, 講師 (30909693)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 刑務所出所者等 / 就労支援 / 就労支援事業者機構 / 更生保護就労支援事業 / 保護観察 / 更生保護施設 / 協力雇用主 |
研究実績の概要 |
本研究は、令和3年度及び令和4年度の2か年で、(1)刑務所出所者等に対する就労支援の制度・実態を多角的・総合的に検証することにより、刑事司法領域の就労支援の現状と課題及びその背景要因を明らかにし、有効な支援・課題解決アプローチを提示すること、(2)分析で得られた知見をもとに、刑事司法領域の就労支援の実践への示唆及び政策提言を行うことを目的としている。 令和3年度の研究内容は次の通りである。まず、文献調査として、専門書、論文、各種報告書、さらに各地の都道府県就労支援事業者機構等を訪問した際に提供いただいた概況資料、リーフレット等から、我が国の刑事司法領域の就労支援の内容と方法、現状と課題を考察した。さらに本研究のインタビュー調査対象である法務省事業「更生保護就労支援事業」の受託団体である都道府県就労支援事業者機構が提出している特定非営利活動法人の事業報告書等を考察した。そして、これらを踏まえながら、都道府県就労支援事業者機構等の職員24人、保護観察官14人、更生保護施設職員5人を対象にインタビュー調査を実施した。これにより、法務省事業、厚生労働省事業、都道府県事業、休眠預金活用事業、機構独自事業など、各地の就労支援事業者機構等の様々な就労支援の取組状況及び刑務所出所者等に対する就労支援の現状と課題について確認することができた。 これらの成果として、分担執筆の書籍『司法福祉・実践と展望』の中に更生保護就労支援事業の内容が伝わる事例を掲載し、日本更生保護学会第10回大会において「更生保護就労支援事業による就労支援の有効性に関する考察」の報告発表を行った。なお、今後はこれらの成果を論文として発表するため、さらなる調査分析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、当初の研究実施計画通り、文献調査及びインタビュー調査を実施し、順調に研究を進めることができた。11月末段階で本年度実施予定の調査を概ね完了したため、次年度予定の調査の前倒し実施を計画した。しかし、研究費の前倒し支払い請求後に新型コロナウイルスの蔓延によって全国的にまん延防止重点措置の実施となったため、一部の追加調査にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、前年度に引き続き、都道府県就労支援事業者機構等の職員、保護観察官及び更生保護施設職員に加えて、矯正施設、協力雇用主、自立準備ホーム、刑務所出所者等の調査も可能な範囲で実施していく。そして、調査と同時に分析を進め、質的分析結果を踏まえ、法務省事業を受託した25か所(令和4年度は2か所追加)を含めた全国50か所の都道府県就労支援事業者機構を対象に、法務省事業、厚生労働省事業、都道府県事業、休眠預金活用事業なども含めた刑務所出所者等に対する総合的な就労支援の現状と課題、展望について質問紙調査を実施していく。 また、調査結果を総合的に分析し、報告書及び論文として研究成果をまとめていく。研究成果は学術雑誌や学術集会、科研費で作成したホームページ等を通して社会へ発信し、研究成果報告書は都道府県就労支援事業者機構、保護観察所など刑務所出所者等に対する就労支援を担っている機関に発送するなどして、本研究の総まとめを実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、当初は研究計画が順調に推移したため、次年度予定の調査計画を前倒し実施するため前倒し支払い請求を実施した。しかし、前倒し支払い請求後に新型コロナウイルスの蔓延による全国的にまん延防止重点措置の実施により、インタビュー調査の実施が困難になったため、変更計画通りに使用できなかった。そのため、令和4年度の調査分析に引き続き研究費を使用していく。
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