カリキュラム・マップは,教育課程において授業科目とディプロマ・ポリシー(以下:DP)の達成度(身に着けた能力)を関連付けることで,学修成果(GPA,DPの達成度etc…)や学生の成長を可視化する手法として活用されている。しかし,学修成果や学生の成長には,入試成績や課外活動(アルバイト・サークル活動etc…)などの授業科目以外の要因も影響を与えていると考えられているが,これらがどのように影響しているかは明らかになっていない。 そこで本研究では,カリキュラム・マップや学業成績,課外活動の内容・時間などの教学データを統計解析することで,学修成果に対する影響度を明らかにすること,学生の成長に関係があると考えられる在学中の過ごし方を「成長過程」と定義し,成長過程をタイプ別に分類すること,更にこれらの検討を通して,個々の学生に沿った学修支援を実現するためのシステムを開発・提案することを目指している。
最終年度では,これまでの検討結果を基に,目的変数である卒業時の学修成果のカテゴリ数を増やした予測モデル開発の検討に取り組み,ニューラルネットワーク(ブースティング)を用いた予測モデルにおいて,大・中・小に分類した卒業時の学修成果を,説明変数に設定した1年次時点の学業成績,在学中の過ごし方などから,約6割の精度で予測できることを確認した。また,説明変数に設定した各要素の重みを評価することで,各要素と卒業時の学修成果との関係を明らかにした。そして,この検討にかかわる成果として,国内学会で発表2件,査読付き論文1本の掲載を行った。
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