本研究は、公立高校で働く外国人教員の複合的な役割を明らかにし、その複合性に起因する外国人教員の葛藤を解明することを目的とした。参与観察及び教員へのインタビュー調査を通じて、外国人教員は自らの複合的なアイデンティティを活用した教授法を実践し、より充実した授業を行うことがわかった。一方で、外国人教員は外国人生徒にとって感情的に近い存在となるため、日本人教員以上に「指導」や「支援」を求める傾向にある。それで生じたトラブルが、外国人同士の問題だと片付けられてしまい、外国人教員が一人で解決しないといけないことが多いのは現段階の課題である。
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