研究課題/領域番号 |
21K20213
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
梅田 崇広 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90908899)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 生徒間トラブル / エスノグラフィー / 相互作用過程 / いじめ |
研究実績の概要 |
本研究は、小中学校における児童生徒間の人間関係上のトラブル(以下、児童生徒間トラ ブル)がいかなる解釈過程で「問題」化される/されないのか,その生成・変容・消失過程 を明らかにするものである。そのうえで、本年度の研究計画は、児童生徒間トラブルの精製・変容・消失過程を捉える分析枠組みの再検討を行うこと、それに基づき、質的データの事例分析を行うことであった。本年度の研究実績は、次の2点に整理される。 (1)台湾教育社会学会での成果報告:台湾教育社会学会第27回大会(オンライン開催)にて、「Turning a Perspective from "Bullying" to "Trouble": Considering the Issues and Analytical Framework of the Qualitative Research on "Bullying" 」と題した報告を行った。台湾でも日本の「いじめ」に類する研究が行われているが、日本のいじめとの認識の違いや、「いじめ」から「トラブル」の相互作用過程へと視点を転換していくことの意義について、活発な議論を行った。 (2)生徒間トラブルの〈解消〉的状況に関する分析:既存の生徒間トラブルに関するフィールドワークデータを分析し、トラブルが「解消」しているように見える状態がいかなる教師と生徒の相互作用によって達成されているのか、という点について考察した。これらの分析結果は、日本教育社会学会誌『教育社会学研究』第110集に、「生徒間トラブルの〈解消〉的状況をめぐる相互作用過程」と題して論文投稿を行った。しかしながら、査読・再査読の結果、リジェクトとなった。次年度は、査読結果を踏まえ、認識論上の課題等について再検討を行い、改めて投稿を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主となる計画であった、生徒間トラブルの生成・変容・消失過程を捉えるための分析枠組みについて、国内外の理論的枠組みを含めて検討することができた。また、それらの成果を国際的な学会において報告することができた。また、上記の分析枠組みに基づいた実際の事例分析についても行っている。そのため、現在までの研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に検討した分析枠組みを用いて、生徒間トラブルの生成・変容・消失過程に関してフィールドワークで得られた質的データの分析を進め、トラブルの相互作用過程に関する特質について検討を行う。コロナウイルス感染症の影響も関連するが、必要に応じて、小・中・高等学校へのフィールドワーク調査を行い、事例を蓄積していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、コロナウイルス感染症の影響により、研究調査を行うことが困難であったり、学会報告がオンライン開催となり、当初計画していた旅費を大幅に下回る使用率となった。翌年度、研究調査が可能となること及び、各学会が対面開催となることを見込み、翌年度に繰り越すこととした。
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