本研究は,「令和の日本型学校教育」の構築を目指した電気の理解を深めるICT教材の開発である。具体的には,AR(拡張現実)技術を用いて,電気の動きや素子の働きをリアルタイムで「見て」,「触れて」学ぶことができる教材を開発する。教材は学習後の学習意欲と知識の定着を図るものとし,授業中に生徒が個人の端末で扱えるものにする。また,遠隔授業やアフターコロナにおける学校教育活動で効果を発揮するものにする。教材は以下の仕様にする。 ①GIGAスクール構想の必須スペックの端末ならばハードウェア,ソフトウェアの種類を問わず動くクロスプラットフォームであること ②抵抗や電源など素子の絵とARマーカが描かれたカードを動かすことで端末に映る電気の現象がリアルタイムに動くこと 令和4年度は,WebAR教材の改良および評価を行なった。AR.jsで作成した教材を現職小学校教員,現職中学校技術科教員,教員養成課程の大学生に評価してもらった。その結果,本教材は,小中学生の電気の理解に有効であることが示唆されたものの,操作性および導入の簡便さに難があることが明らかとなった。そこで,palanの提供するWebサービスであるpalanarを用いて,WebARを作成した。これにより,操作性および導入の簡便さに関する問題は解決し,現場の教員による調整等やARの新規作成も容易に可能である。また,電気の動きや素子の働きに関するモデルを2Dから3Dに変更したため,視認性が向上した。
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