研究課題/領域番号 |
21K20229
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
井口 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 研究員 (90908352)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 幼児 / 指文字 / 手話 |
研究実績の概要 |
指文字は、聴覚障害者のコミュニケーションの手段であるだけでなく、聴覚障害児教育において言語指導の目的で使用されてきた。近年では、国内外で前言語期を含む言語獲得期の聴指文字の役割が期待されている。欧米圏を中心に乳幼児期から児童期にかけての指文字習得に関する研究が行われているが、手指言語環境下で養育される聴覚障害児を対象としており、音声言語の発達との関連については検討されていない。また、我が国においては、聴覚障害幼児に対して語彙獲得を促す目的で指文字が使用される事実が確認されているものの、幼児期の指文字習得過程に関する基礎的知見が得られていない現状にある。 我が国の指文字は、仮名文字に対応した手形であり、手形を順に表出して単語を視覚的に綴ることが主な用途となるが、この時に「指文字手形と併せて音声(文字音)が同時表出される」という特徴がある。そのため、幼児が指文字の単語表出が可能となる過程には、音声言語の音韻意識の発達と関連していることが予想される。 本研究は、聴覚障害幼児の指文字の単語表出能力について、音声言語の音韻意識の発達との関連から検討し、幼児期の指文字の習得過程を明らかにすることを目的とした。当該年度は、聴覚障害幼児(年中児・年長児)を対象とし、指文字単語表出課題と音韻意識課題を実施した結果について、①指文字表出課題と音韻意識課題の関係の分析、②指文字単語表出時の誤答の分析、③手形と同時に表出された発声の分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の計画に示した文献の収集及び整理が実施できている。また、既に収集済であった調査のデータの分析については、当初の計画からやや遅れているものの分析を進められている。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初予定していた学校への訪問及び調査の大部分が実施できていない状況にある。今後の研究の遂行については、学校等の状況を踏まえて実施時期や実施方法を見直しながら取り組んでいく。
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今後の研究の推進方策 |
既に収集済みの調査結果について、引き続き分析を進める。分析結果の一部は、学会誌への論文投稿及び日本特殊教育学会第60回大会への発表等を通して報告を行う予定である。また、特別支援学校に訪問し、聴覚障害幼児を対象とした指文字習得過程に関する新規課題の実施については、研究計画と実施方法を見直しながら取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス等の影響で、訪問調査及び研究に係る打ち合わせをWEB会議システム等を用いて行ったことから、旅費が未使用となった。新型コロナウイルスの感染拡大の状況を見ながら、可能となった場合は旅費に充当する。また、文献資料の購入や必要な消耗品等の購入に充当し、計画的に執行する。
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