多くの開発途上国が、 SDGsゴール4で謳われている教育の質の向上に向け、カリキュラム改革に取り組んでいる。しかしながら、特に算数・数学教育では、 学習内容の普遍性を理由に、自国の社会文化的状況を考慮せず、世界の潮流をただ模倣する改訂がなされ、それらが機能しないという状況が起こっている。本研究の目的は、開発途上国の算数・数学カリキュラム開発において、適切な内発的発展を促進するための鍵となる要素を抽出し、内発的発展のプロセスを理論化することである。 この研究課題に対し、昨年度に引き続き、モザンビーク共和国を事例として研究を進めた。 前年度に掲載された論文2本、「モザンビークの初等数学科におけるローカルカリキュラムの課題と可能性 ―M-GTAを援用したカリキュラム担当者および教員へのインタビューデータの分析から―」、「Transition of Mozambique’s Primary Mathematics Intended Curriculum in the Post-Colonial Period: A Focus on Adaptation from an Exogenous Curriculum」を基に、内発的発展の鍵となる要素を整理して理論化し、論文としてまとめようとしている。 さらに、3年間の調査の成果をまとめたものが、4年に一回開催される数学教育の世界大会「15th International Congress on Mathematical Education」の口頭発表に採択され、2024年7月に発表予定である。
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