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2022 年度 実施状況報告書

啓蒙期フランスにおける教育可能性論と自然誌の交差に関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K20243
研究機関早稲田大学

研究代表者

杉山 大幹  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (60906692)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワード18世紀 / 子育て習俗
研究実績の概要

本研究は、啓蒙期フランスにおける教育可能性をめぐる思想の特徴とその形成過程を、同時代の自然誌研究からの影響に着目して明らかにしようとするものである。具体的には、18世紀フランスを代表する自然誌学者であるビュフォン(G. -L. L. De Buffon, 1707-1788)の教育論が、同時代の哲学者や医学者らによる教育論ともった接点の検討から両者の相違と相似を明らかにし、また相互の影響関係を跡づける作業を通して、本課題に取り組んでいる。
これまで、(1)ビュフォン初期の論考「人間の本性について」における教育可能性をめぐる考察の検討、(2)「子ども期について」における母乳哺育擁護論と同時代の医学者らによる言説の関係の検討、(3)同テクストにおける巻き産衣批判のルソーとの比較検討の成果を論文としてまとめ、それぞれが学内外の査読付学術誌に掲載された(『早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊』、『フランス教育学会紀要』、『日仏教育学会年報』)。
これまでの研究の主たる成果としては、少なくとも1740-50年代のビュフォン思想において、教育可能性はつねに人間と動物の境界をめぐる問題構制のなかで問われていること、そのさい、教育可能性はもっぱら被教育者の属性として論じられており、ルソーら同時代の思想家による教育論への影響もこの論点に限定できそうであることを、テクストに即して実証できたことが挙げられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度来のCovid-19流行の影響に加えて、海外情勢の不安定化やそれに起因する原油高等もあり、海外での資料調査自体を断念せざるをえなくなり、資料収集の方針を根本的に変更する必要が生じた。海外ILL(図書相互賃借)などの活用によって補える不足は補うことで研究の進捗を図ったものの、当初の計画からはやや遅れていると言わざるをえない。

今後の研究の推進方策

図書の購入・複写と、国内の古典書籍を収蔵する図書館での調査に注力して資料収集を進め、研究基盤の確保につとめる。また、これまで蓄積してきた分析の早期の論文化も努力する。

次年度使用額が生じた理由

数年来のCovid-19流行に加えて、海外事情等の大きな変動によって、不確定要素が増大し、海外での資料調査を断念せざるを得なくなったため、次年度使用が生じた。次年度使用分は主に図書購入費と国内図書館訪問の旅費として活用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 母乳哺育を擁護する論理 : 18世紀フランスの自然誌学者ビュフォンの場合2022

    • 著者名/発表者名
      杉山 大幹
    • 雑誌名

      フランス教育学会紀要

      巻: 34 ページ: 59-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ビュフォンの巻き産衣批判に関する一考察:ルソーとの比較の観点から2022

    • 著者名/発表者名
      杉山 大幹
    • 雑誌名

      日仏教育学会年報

      巻: 29 ページ: 53-63

    • 査読あり

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公開日: 2023-12-25  

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