研究課題/領域番号 |
21K20245
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
東海林 沙貴 中部学院大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50910577)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 特別な支援を要する児童生徒 / 通常学級 / 体育授業 / スウェーデン |
研究実績の概要 |
当該年度に実施した主な研究として、スウェーデンの教育関連機関での実地調査が挙げられる。具体的には、ストックホルム市内及びサーレム市内の基礎学校2校、保育園2園、特別支援学校1校、地域のサッカークラブ1チームを訪問し、各機関の教員や指導者、また、児童生徒や選手を対象に、そこでの教育活動の様子を聞いた。 本研究全体としての目的は、通常学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒に対して、体育授業においてどのような支援が行われることが望ましいのかを明らかにすることである。そのためには、そのようなニーズをもった児童生徒に対して、どのような支援が行われているかという個別の事例を明らかにすることと共に、彼らを包摂した授業では何を志向すべきかを問い直すことも必要であると考える。研究実施計画の段階でも、他国での取り組みを参考にすることを予定しており、今回の訪問がそれにあたる。 スウェーデンでの各機関への訪問を通して、今後、これまで以上に多様なニーズをもった児童生徒を包摂した体育科・保健体育科の授業を進めていく場合には、従来対象としてきた“スポーツ”よりも広い“身体活動”を、これまで以上に取り入れることが重要なのではないかとの示唆を得ることができた。また、日本においての運動部活動や地域のスポーツクラブとの棲み分けを明確にすることも有効ではないかと考えられる。 日本における体育科・保健体育科のこれまでの豊かな実践を、これからの社会にあわせた新しいあり方のもとでアップデートするためには、諸外国の実践は大いに参考になるものである。スウェーデンでの実際の様子を確認することができた今回の訪問は、非常に意義のあるものであったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1点目の理由として、2022年度までのコロナウイルスによる授業参観や学校訪問の制限が挙げられる。研究に協力して下さる小・中学校や、その先生方を新たに探すことが困難であり、また、つながりがある場合にも直接訪問することが難しかった。 2点目の理由として、研究以外の日常の業務が想定した以上に負担になっているという点である。授業の準備や終了後の評価に時間がかかるとともに、校務分掌が増えたことで、研究に充てる時間を十分に取ることが難しい状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究全体としては、2年間での実施を予定していたが、その期間を1年延長し、継続して実施することとなった。したがって、研究実施計画において予定していた内容について、2023年度に取り組めるように進めていく。また、2022年度までに行った調査等の結果についても2023年度中には公表できるよう、その内容の整理・分析や、執筆作業に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航の際の旅費が、予算申請時に想定した金額よりも少なく済んだことが理由の1つとしてあげられる。また、購入を予定していた物品や消耗品の一部に、その購入の必要がなくなったことも理由としてあげられる。 次年度には、他の分野の研究者とともに、これまでの研究成果を踏まえた討論会の実施を予定しており、そこでの会場費に充当することを主な使用計画とする。
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