研究課題/領域番号 |
21K20250
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
須谷 弥生 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (00909434)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 学習評価 / 形成的評価 / 自己評価 / 言語 / 身体知 / 知の一人称研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学習者の身体感覚を言語化することによる学習評価を開発することである。この目的を達成するために、文献研究と一人称研究の手法を用いた実験を並行して行っている。 学習の過程における評価は、形成的評価と呼ばれる。特に近年では、学習者も評価に参加することが重要であると考えられるようになってきた。学習者自身による自己評価はメタ認知によりなされると考えられている。しかしながら、現在行われているような授業の感想を問うような振り返り、習得されるべき項目がチェック項目として構成された振り返りは、学習を深めるには十分ではない。そこで本研究では、言語の基本的性質の一つである身体性に着目し、身体知研究の手法の一つである、からだメタ認知を用いた知の一人称研究による評価の在り方を検討している。 実験は、次のスケジュールで実施している。第Ⅰ期(2021年12月~2022年2月)、第Ⅱ期(2022年3月~2022年5月)、第Ⅲ期(2022年6月~8月)、第Ⅳ期(2022年9月~11月)、具体的には、週に5~6日、一日60~90分のペースで実験を行っている。現在、第Ⅱ期の途中であり、今後、第Ⅲ期、Ⅳ期と継続して実験を行う予定である。実験を4つの区分に分けて実施しているため、一期ごとにまとまった考察を行っている。今後も引き続き実験と考察を行い、毎回の変化や気づきに加えて、一定のまとまった期間における特徴や時期ごとの変化などを検討する予定である。現時点では、毎日何度も振り返りをすることにより、振り返りをすること、できないことを把握することに抵抗感がなくなること、そのことにより、繰り返し練習する必要がある箇所を把握できるようになること、色と形を描いてから言葉で振り返りを書くため、言葉で振り返りを書く負担が軽減されること、が明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.文献研究について これまでの研究成果を学会で2回発表(1,2)した。また、学術論文(3)を1本執筆した。(1)2021年11月27日に開催された中国四国教育学会(山口大学、オンライン開催)に参加し、「身体感覚に着目した学習評価の在り方に関する研究-問題の素描-」と題する研究発表を行った。この発表では、主に、申請者がこれまで取り組んできた社会的構成主義の学習論に関する研究において浮き彫りになった課題から、評価、特に学習評価の研究を展開する必要性を示した。(2)2022年3月26日に第17回日本感性工学会春季大会の企画セッション「空間と感性」にて、「身体知の視点から形成的評価としての自己評価を問い直す」と題する研究発表を行った。この発表では、形成的評価論の展開を整理し、日本における形成的評価の状況と課題を明らかにした上で、今後の形成的評価の研究の方向性として、言語の身体性にも通ずる身体知に着目する必要性を提起した。また、実験の内容を一部報告した。(3)日本感性工学会の感性哲学部会が刊行する論文集『感性哲学12』(査読有り)に「身体知の視点から形成的評価としての学習評価を問い直す」と題する論文を投稿し、採択された。論文の内容は、(2)と同一であるが、実験の中間報告は含まれていない。 2.実験の実施状況について 川崎医療福祉大学倫理委員会に研究倫理申請を行い、2021年11月25日に研究実施の許可を得た。その後、週に5~6日、一日60~90分のペースで実験を行っている。現時点では、毎日何度も振り返りをすることにより、振り返りをすること、できないことを把握することに抵抗感がなくなること、そのことにより、繰り返し練習する必要がある箇所を把握できること、色と形を描いてから言葉で振り返りを書くため、言葉で振り返りを書く負担が軽減されること、が明らかになっている。
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今後の研究の推進方策 |
1.実験について 実験は、次のスケジュールで実施している。第Ⅰ期(2021年12月~2022年2月)、第Ⅱ期(2022年3月~2022年5月)、第Ⅲ期(2022年6月~8月)、第Ⅳ期(2022年9月~11月)。現在、第Ⅱ期の途中であり、今後、第Ⅲ期、Ⅳ期と継続して実験を行う予定である。実験を4つの区分に分けて実施しているため、一期ごとにまとまった考察を行っている。今後も引き続き実験と考察を行い、毎回の変化や気づきに加えて、一定のまとまった期間における特徴や時期ごとの変化などを検討する予定である。 2.文献研究について 引き続き、実験と平行して文献研究を行う。昨年度は、形成的評価に関する国内外の文献を収集した。現在、学習評価の概念整理(assessment of learning, assessment for learning, assessment as learning)や、形成的評価における自己評価の在り方に関する批判的検討を行っており、今後もこれらを継続して実施する予定である。 3.研究成果の発表について 1と2の研究成果は、2022年8月8日~8月10日に東京で開催される国際学会、The International Council of Philosophical Inquiry with Children(ICPIC)で発表し、その後、学会で得た指摘等を参考に加筆修正を加え、2022年中にICPICが刊行する学術雑誌(査読有り)に論文投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催になったため、交通費や宿泊費が不要になり、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、文献購入費や収集費等に充てる予定である。
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