本研究では、特別支援学校教員の自閉症支援の理解と支援の向上を目指すモジュール型研修プログラムの開発を行った。このモジュール型研修プログラムは、教員の理解度や研修ニーズに応じて行動問題への対応を含む自閉症支援に関する研修内容を選択し、講義と協議・演習をモジュール化し短時間で行う集中的・協働的な研修である。内容は、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園主催の強度行動障害支援者養成研修を参考に、許諾を得た上で特別支援学校教職員研修用に内容を一部変更して作成した。具体的には、自閉症の理解と支援の基礎的な内容、実態把握の進め方と自立活動との関連、支援計画の立案、支援の実施と記録の取り方、保護者との協働・関係機関との連携の内容で構成した。 一年次に実施した特別支援学校教員へのアンケート調査では、必要とされる自閉症支援を行っているものの、教員自身が支援の有効性や妥当性を客観的に評価することへの困難さがみられた。研修ニーズとして、行動問題が起こる要因や、行動問題への具体的な対応に関する内容の回答が多く、基礎的な内容と実践的な内容が必要と考えられ、上記研修内容を試案として作成した。 二年次は、研修プログラムを研究協力者に試行的に実施し、同時進行で、研究協力者が事例児を選定し事例研究を進めた。事例研究の観察終了後に、事例児の行動変容のまとめや研究協力者の意識の変容についての聞き取り調査を実施した。各事例において成果が見られたこと、自閉症の支援として具体的な支援方法について述べることができるようになるなどの意識の変容がみられた。 三年次は、二年次研究成果をまとめるとともに、研究協力校において校内研修を実施し、研修参加者の理解度や意見等を参考に、研修プログラムの再整理を行った。 本研究で作成した研修プログラムを、今後研究協力いただいた自治体を中心に取り扱い、その効果について検証する必要があると考える。
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