研究課題/領域番号 |
21K20261
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
堀川 修平 埼玉大学, 教育学部, その他 (80912815)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | クィアペダゴジー / 性教育実践 / 性の多様性 / 性教育史 / ライフヒストリー |
研究実績の概要 |
本研究は、日本におけるクィアペダゴジーがどのように展開され、そこで教師はどのような課題意識を持ち、権力性を問い直そうとしてきたのか。そして、どのような課題を今日に残しているのか明らかにし、ジェンダー・セクシュアリティに関わる教育実践の“アクセルとブレーキ”を提示することで、ジェンダー・セクシュアリティ平等な社会を構築するためのクィアペダゴジー開発に関わる指針を提案することを目指すものである。 そのために、以下の3点を主な作業内容としている。A.教育的基盤となる現代日本のクィアペダゴジーに関する諸制度を整理し、制度の到達点と限界性を明らかにする。B.性教育団体における性教育実践の中で、クィアペダゴジーがどのような内容で開発されていたのかを明らかにする。C.クィアペダゴジーの開発に関わった教師のライフヒストリーに着目した聞き取りを行い、教師の課題意識を描き出す作業を通して、クィアペダゴジーが開発された目的と課題意識、それらの展開を明らかにする。 本年度は、上記のAとBに関わる作業を中心におこなった。 Aに関しては、教育的基盤に位置づく、『学校における性教育の考え方、進め方』(1999)、法務省・文科省『人権教育・啓発白書』の整理および考察を行った。またBに関しては、日本の性教育団体における性教育実践を分析した。 研究の成果として、2000年代初頭になされていた「総合的な学習」との関連で行われていた性教育実践の考察に関わる論文のほか、性教育に関する年表作成ならびに、クィアペダゴジーに関係する用語「性の多様性」についての解説を執筆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究作業のA・Bともに、資料の考察がほぼ予定通りに進められているため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究作業「C.クィアペダゴジーの開発に関わった教師のライフヒストリーに着目した聞き取りを行い、教師の課題意識を描き出す作業を通して、クィアペダゴジーが開発された目的と課題意識、それらの展開を明らかにする」を中心に作業を進める。 作業の成果として得られた知見は、学術論文への投稿、学会発表のほか、社会教育活動にて還元する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していたインタビュー調査が新型コロナウィルス蔓延を受けて予定通りには実施できず、それに代えて、クィアペダゴジーならびにジェンダー・セクシュアリティと教育研究、クィア理論に関わる文献レビューなどを作業の中心とした。 そのため、当初の支出予定よりも旅費・謝金ならびにインタビュー調査における資料収集に関わる費用が減った。次年度も引き続き不透明な点が多くあるが、研究目的の遂行に関わって、旅費ならびに人件費・謝金の確保が必須である。
|