本研究の目標は、チャットボットを使った対話型教材を開発、実際の授業で使用し、教育効果の是非を明らかにすることであった。 教材開発の対象になる授業の流れは以下のとおりである。情報技術の発達により日常生活で生じる問題と、それに対する行動として相反するものを提示する。少人数のグループ学習でどちらの行動が適切か議論を行う。本研究では、チャットボットを使ってグループ学習による対話を疑似的に再現するシステムを構築した。対話を行うメッセージツールとしてBotpressを利用し、開発、運用を行った。教材は大学初年次学生を対象として開発した。また、情報教育について動機づけの向上を目的とし、議論のテーマは大学の専攻にあまり関係しないような社会的問題を設定した。 2021年度上半期には、一般情報教育の授業でグループ学習を含む授業を実施した。また、2022年度上半期にチャットボットを使った授業を実施した。以上の教材効果を評価するために、内発的動機付けの評価尺度であるIntrinsic Motivation Inventorをベースにアンケートを作成し、授業前後での評価の比較から教材効果を検証した。チャットボットを使った授業では、学生の学習意欲が向上していることが分かった。特に、授業の内容を学習することが自分にとって価値があることを認識させることができるという点で効果があった。以上の研究により、チャットボットを活用した一般情報教育の教材は大学生に対して、学習意欲を向上さえるうえで教育効果のあることを明らかにした。
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