研究課題/領域番号 |
21K20267
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
冨田 享子 (神井享子) 愛媛大学, 教育学部, 講師 (70908920)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 因果関係理解 / 推論 / 心的状態の理解 |
研究実績の概要 |
令和3年度においては、国内外の関連文献を広く収集し、先行研究のレビューと課題作成に取り組んだ。本研究の主題である、自閉スペクトラム症児における因果関係理解の特徴については、国内での知見が乏しいため、海外の研究結果を基に情報を収集した。また、先行研究の知見を幅広く収集する中で、これまで分析対象としていなかった先行研究の中に、本研究に強く関連する知見が含まれていることが分かったため、さらに対象を拡大して文献レビューを行った。その結果、物の状態の変化に関する因果関係理解、行動の変化に関する因果関係理解、心的状態の変化に関する因果関係理解のそれぞれについて、課題の素案を作成するに至った。 加えて、心的状態の理解については、定型発達児の幼児期から児童期にかかる感情理解の特徴を参考にするため、特に怒りと悲しみについて、その理解や判断の理由に関する調査結果をまとめ、学会発表を行った。この発表を通して、有益な助言を数多く得ることができた。これらの助言を参考に、本研究で実施予定の課題素案をより洗練させ、多面的な分析が行えるように改訂を行った。 令和4年度においては、オンラインを活用するなどして予備調査を行い、5月を目途に課題を完成させる予定である。そして、東京学芸大学の研究プロジェクトとの連携を強化し、7月から8月にかけて定型発達児童、自閉スペクトラム症児童を対象として対面で課題を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来、令和3年度中に愛媛県内で定型発達児を対象として予備的に課題を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、対面での課題実施が著しく困難な状況となった。本研究の実施に当たっては、語彙発達を指標とする言語力の検査が必須であるが、当該検査はオンラインでの実施が許可されなかったため、令和3年度中の課題実施は見送ることとした。そのため、当初の研究計画と比べるとやや進展が遅れているものの、本研究でのメインとなるデータは令和4年夏に収集する予定であったため、研究計画全体としては大きな影響はないものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては、7月から8月にかけて、東京学芸大学との共同研究プロジェクトにおいてデータの収集を行う。同プロジェクトでは、自閉スペクトラム症児童25名程度、定型発達児童40名程度の参加を見込んでいる。その後、必要があれば、愛媛県内において追加データの収集を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度使用額については、東京学芸大学での研究プロジェクト実施のための打合せ旅費、プロジェクト期間中の滞在費、国内学会において成果発表を行うための費用・旅費に大部分を充てる予定である。また、研究参加者に対する謝金も支払う予定である。本研究で得られた知見は、国内での学会発表のほか、国際誌への投稿も予定しているため、英文校閲料や論文投稿料にも一部の予算を用いる予定である。
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