研究課題/領域番号 |
21K20268
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸川 加奈子 九州大学, 基幹教育院, 助教 (40908274)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 障害学生支援 / 支援者 / 職務葛藤 / 半構造化面接 |
研究実績の概要 |
本研究は、高等教育機関における障害学生支援者が支援業務を行う際に感じる葛藤や悩みと、その解決プロセスを明らかにすることを目的としている。対象者は高等教育機関において障害学生支援に携わる支援者とし、半構造化面接を実施し質的データを収集する。支援者の学問的背景として、障害学・特別支援教育・心理学・福祉学・医学等が想定されるが、葛藤や悩みの内容は、支援者の所持資格や学問的背景により異なると考えられる。分析は学問的背景ごとに、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて行う予定である。 2022年度は、特に心理学を学問的背景に持つ支援者に対するインタビューを中心に行った。M-GTAに耐えられるだけのデータ収集がかなわなかったため、中間報告として、障害学生支援業務に携わる際に感じる困難さに関する因子をテキストマイニングにより抽出することとした。KH Coderにより、逐語録を分析した結果、20回以上出現した特徴語は「心理・大学・最初・必要・先生・会議・学生」等、89語であった。特徴語同士の共起ネットワークから7因子が生成された。「話を聞くこと」や「発達障害学生や精神疾患学生への理解」等について、心理学の専門性を活かせると感じている一方で、「大学という職場環境への理解」・「学内連携や会議体への参加」に対して、困難を感じている可能性が示された。今回の分析結果については、2023年度 学生相談学会において発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年4月より、インタビュー協力者の募集を行っている。アポイントが取れ次第、インタビューを実施しているが、分析に耐えられる人数・データの確保に至っていない状況である。リクルート方法の変更を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
高等教育機関において障害学生支援に携わる者が抱える葛藤と解決プロセスについて明らかにすることを目的として、木下(2003)の修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて、概念化されたデータから困難状況への対処、結果のモデル図を作成し、困難感の構造や特徴について検討する予定である。職務に当たる際に抱える葛藤と解決プロセスが明らかになることによって、現在の障害学生支援における問題点の整理と、支援者が健康的に職務を行う方策や今後の在り方の検討に貢献できるのではないかと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー協力者のリクルートに時間を要し、2022年度中に十分な人数に対してインタビューを実施できなかったため、人件費を中心に次年度に繰り越しとなった。 今後は、リクルート方法の変更を行い、インタビューの実施とデータ分析を行う予定である。
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