研究課題/領域番号 |
21K20277
|
研究機関 | 大和大学 |
研究代表者 |
光永 文彦 大和大学, 教育学部, 准教授 (80911205)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
キーワード | 数学的活動 / 主体的・対話的で深い学び / データの分析 / 統計的推測 / 仮説検定 / 信頼区間 / 教材開発 / 教材評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,生徒が「推測すること」を感得するために,教師は (1) どのように観察・実験や問題解決的な学習活動を構造化し (2) どのように各学習活動における生徒の学習を可視化し (3) どのように生徒の主体的・対話的で深い学びの評価を行うべきか を明らかにすることにある。 令和4(2022)年度の研究活動では,(1)に関して,高等学校数学Ⅰ「データの分析」に「推測すること」の入り口として追加された「仮説検定の考え方」の導入教材を開発した。この教材では,グループワークによる発話や対話を活性化させ,二項分布を基にしたデータをランダムに生成するゲーム教材を完成させた。また,授業実践を通じて「確率の文脈における偶然の捉え方」に注目し,生徒の学習活動を構造化することができた。また,令和3(2021)年度に実施した数学B「確率分布」の単元「統計的な推測」の授業実践データの分析を通じて,生徒の学びのルーブリックを完成させた。(2)に関しては,令和3(2021)年度のコロナ禍でのグループワークで Google Chat を使用してグループワークでの発話内容を分析し,生徒の学習活動や学習状況や進捗を可視化した。さらに,(3)に関しては,高等学校学習指導要領解説(文部科学省 2018)を基にして,(1)と(2)で得たデータを評価するルーブリックを作成し,改善することで,具体的な評価の検討を行った。さらに統計教育の国際会議である ICOTS 11 (11th International Conference on Teaching Statistics) で発表し,意見交換の中で多くの知見を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでおり,順調に進展している。 具体的には,令和3(2021)年度に実施した生徒が「推測すること」を感得することを目指した授業実践の8クラス分のデータ化が進み,得られたデータの分析から得た知見の論文化が進んでいる。また,令和4(2022)年度は新単元「仮説検定の考え方」の授業教材が完成し,開発した教材を用いた授業実践を年度内に終えることができた。令和5(2023)年度もデータ分析を継続して,問題解決的な学習活動の効果を明らかにして,評価の構築を目指す。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5(2023)年度は,令和4(2022)年度に新しく開発した教材を用いて実施した数学Ⅰ「仮説検定の考え方」の授業実践で得たデータの分析を進め,生徒の学習活動の特徴を定義して,統計教育における生徒の主体的・対話的で深い学びの評価についてまとめていく。また,開発した別教材で令和3(2021)年度に実施した数学B「統計的な推測」の授業実践で得たデータの分析結果の知見を国内外の論文誌への投稿する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和4(2022)年度に開催された ICOTS 11(11th International Conference on Teaching Statistics)がコロナ禍での海外渡航の制限によりオンライン参加となり,その分の予算を他の国内学会や国際会議での成果発表に割り振ることができたため。令和5(2023)年度はデータの分析とともに成果発表と論文化を進めていく。
|