本年度は、昨年度実施した文献・史資料の収集および読解・分析を継続して実施するとともに、論文などの研究成果物を作成し、本研究課題の成果をまとめた。詳細は、以下の通りである。 (1)和辻とその学派および戦時下修身教育にかんする文献・史資料の収集、読解、分析および整理:和辻とその学派にかんする文献・史資料の収集および読解、分析を実施するとともに、本研究課題遂行中に発見された戦時下修身教育にかんする史資料の整理、分析を実施した。とりわけ、後者にかんしては、史資料のリスト作成をおこない、後世の研究に寄与することとなった(現在、アクセス可能にするための準備をすすめている)。 (2)和辻とその学派およびそれが影響をあたえた戦後日本の道徳教育の思想・政策・実践にかんする研究成果の公表:本年度は、「下程勇吉における「まことの倫理」と道徳教育論」『続・道徳教育はいかにあるべきか』ミネルヴァ書房、2022年11月、「日本道徳教育史」『道徳教育の地図を描く』日本評論社、2022年12月が刊行されるとともに、「和辻倫理学の系譜としての勝部真長の道徳教育論(上)」『九州看護福祉大学紀要』第23巻第1号、2023年3月および「和辻倫理学の系譜としての勝部真長の道徳教育論(下)」『九州看護福祉大学紀要』第23巻第1号、2023年3月の2本の論文が公刊された。これらの成果によって、和辻とその学派が戦後日本の道徳教育の思想・政策・実践にあたえた影響をあかるみにだし、戦後日本の道徳教育を歴史的に考察するうえでの基礎を築いた。
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