第一に,先行研究から子ども理解という言葉の扱い方を検討した結果,子ども理解は実践と隣り合わせの概念であるため,その言葉の意義は流動的で定義することは容易ではないと考えられた。本研究では,どのように子どもを見て,理解しようとするかを観点とした子ども理解を基軸にすることとした。第二に,保育者と保護者の子ども理解を検討した。多声的ビジュアルエスノグラフィーの手法を援用した調査とSCATによる分析の結果,保育者は,遊びそのものの教材的な価値を判断し,よりよい遊びの実践を目指すことが示された。保護者は,外面化する子どもの姿に着目し,子どもが感じる遊びの楽しさが関心の中心となる傾向にあった。
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