研究課題/領域番号 |
21K20283
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩谷 舟真 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (20910706)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | ナッジ / 記述的規範 / ヒューリスティック / システマティック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、コロナウイルス感染症がまん延している状況下において、「多くの人物が外出している」という情報を提示することが人々の外出行動を促進するのか抑制するのかを検討することであった。多くの人物がとっている行動は記述的規範として社会心理学分野で知られており、人々は多くの人物がとっている行動に従うことが示されている。こうした研究を踏まえると、「多くの人物が外出している」という情報を提示された場合に人々はより外出すると考えられる。一方で、外出している人物が多いほど、外出に伴う感染リスクは高まる。こうした感染リスクを考慮すると、外出する人物が多いときには外出を控えるほうが望ましいと考えられる。以上を考慮し、本研究では人出情報についての情報が外出行動に与える効果は意思決定者の判断傾向(システマティックな判断を行う者 or ヒューリスティックな判断を行う者)によって調整される可能性を検討することを目指した。 2021年度は、人々が外出しているという情報についての実験刺激(人出が多い写真と少ない写真)の作成、ヒューリスティック・システマティックの判断傾向を測定するための質問項目の作成を行なった。また、ヒューリスティックおよびシステマティックな判断を促す1つの手法として意思決定にかける時間を制約するという手法があるが、予備的な実験を通じて外出するか否かの意思決定にかかる時間についてのデータを収集し、具体的な制限時間(15秒)を設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本実験は感染症まん延下の意思決定について検討するものである。2021年度は前期に実験刺激の作成や感染状況についての質問文を作成した一方で、10月以降は感染者数が少ない期間、すなわち感染症がまん延していない期間が長かったため、実験を実施するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
実験刺激や質問項目については概ね完成しているので、感染状況を見極めつつ適切な時期に迅速に実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症がまん延していない期間が長く実験実施を控えたため、次年度使用額が発生した。2021年度の段階で実験刺激の作成は完了しているため、2022年度は2021年度に行えなかった実験を実施するとともに、社会の流動性の高い社会環境と低い社会環境を比較する実験を行う予定である。
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