発達性読み書き障害のある成人にとって,書字の遅さは幼少期から継続的に抱えている困難であり,就学・就労に支障をきたす原因となる場合がある。しかし困難の程度に対する定量的研究は少なく,支援方法の根拠となる科学的知見が不足している。本研究は発達性読み書き障害のある成人が障害のない成人と比べ,ひらがな単語の水準で有意に書字が遅いことを明らかにした。背景には音韻能力や視覚認知能力の問題があると考えられ,発達性読み書き障害のある成人が書字に関する合理的配慮を求めるにあたり, 根拠の一つになり得る知見が得られた。
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