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2023 年度 実績報告書

脊椎動物の高度な認知能力の進化的起源の探求:魚類における社会的認知能力の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K20302
研究機関新潟大学

研究代表者

川坂 健人  新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 特任助教 (60908416)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワード社会認知能力 / カワスズメ科魚類 / ホンソメワケベラ / グッピー / 顔認知 / 異人種効果 / 比較認知科学 / 行動生態学
研究実績の概要

前年度に引き続き、タンガニイカ湖産シクリッドのNeolamprologus pulcehrを主な対象種として、魚類において個体間関係を成立・維持させる認知能力や個体性の探索を実施した。ザンビア共和国のムプルングへ渡航し、野生下のN.pulcherの成長に伴う社会的地位の変化と、それに個体性(固有の模様)の発達をスキューバ潜水にて観察した。加えて、水槽でのモデル提示実験により、幼魚の個体性(固有の模様)の発達度合いを人為的に操作し、他個体からの社会的相互作用が変化するかを検証した。その結果、優劣関係や巣仲間/侵入者の識別といた社会的相互作用において個体性の発達が重要であることが明らかになった。この成果については日本生態学会 第71回大会で発表し、現在投稿準備中である。
研究期間全体を通じて、シクリッドやホンソメワケベラ、グッピーなど複数の分類群で個体識別や顔認知とその認知様式(全体処理など)、鏡像自己認知を検証した。その結果、これまで協同繁殖魚であるプルチャーなど複雑な社会環境で生活する種でのみ報告されていた認知能力が、グッピーなどの相対的に単純な社会で生活する分類群にも存在することを明らかにできた。現在のところ、高度な認知能力の進化的起源について新たな進化モデルを提示するには近縁種での検証が不十分であるものの、個体識別や顔認知における認知プロセスは棘鰭上目において共通である可能性が示されており、これらの認知能力は社会環境の複雑さによらず個体間関係の維持に重要であることが示唆された。
今後は、これらの認知能力の発達過程や可塑性の解明、近縁種間での質的な比較、および関連する脳神経領域を探索を通じて社会認知能力の進化的起源を明らかにし、社会知性仮説等の進化モデルの検証を行いたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Male Guppies Recognize Familiar Conspecific Males by Their Face2023

    • 著者名/発表者名
      Sogawa Shumpei、Fukushima Rio、Sowersby Will、Awata Satoshi、Kawasaka Kento、Kohda Masanori
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 40 ページ: 168-174

    • DOI

      10.2108/zs220088

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 協同繁殖魚ネオランプロローグス・プルチャーの顔模様の個体性とその発達2024

    • 著者名/発表者名
      川坂健人
    • 学会等名
      日本生態学会 第71回全国大会
  • [学会発表] カワスズメ科魚類Neolamplorogus pulcherは概念を持っているのか?2023

    • 著者名/発表者名
      安藤芳人、十川俊平、幸田正典、安房田智司、川坂健人
    • 学会等名
      日本動物行動学会 第42回大会
  • [学会発表] ホンソメワケベラは自己顔認知により鏡像を自分と認識している2023

    • 著者名/発表者名
      幸田 正典、Bshary Redouan、久保 直樹、安房田 智司、Sowersby William、川坂 健人、小林 大雅、十川 俊平
    • 学会等名
      2023年度日本魚類学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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