研究実績の概要 |
本研究の目的は,未経験の出来事を誤って記憶してしまう「虚記憶」が,自分に関連した事柄についての記憶から生じやすいという現象の脳内メカニズムを脳波 (EEG)と磁気共鳴機能画像法 (fMRI)の両側から明らかにすることである。研究実施計画では,オフラインでの脳活動計測実験を予定しているが,昨年度はその前段階としてオンラインでの行動実験を実施した。行動実験では,クラウドソーシングサービスを介して142名の記憶テストのデータが集められ,正しい記憶と虚記憶の成績が集計・解析された。続く本年度では,昨年度に実施したオンラインでの行動実験の結果を国際学術誌に掲載した (Shimane et al., 2022, Frontiers in Psychology)。さらに,fMRIを使用した脳活動計測実験を実施し,その結果を2件の国際学会 (Takeda, Miyoshi, Jimura, Shimane et al., 2022; Watanabe, Miyoshi, Jimura, Shimane et al., 2022),および1本の国際学術誌に発表した (Watanabe, Miyoshi, Jimura, Shimane et al., 2023, Neuroimage)。このfMRI研究の結果は,ヒトの知覚・認知の脳内メカニズムに言及するものであり,本プロジェクトの遂行に不可欠なものである。 fMRIおよびEEGによる,虚記憶課題中の脳計測実験も遂行中であるが,昨今の社会情勢により,対面実験の円滑な実施が困難であり,進行がやや遅れている。そのため,補助事業期間の延長を申請し,次年度はfMRIおよびEEGを用いた虚記憶実験のデータ計測および解析を完遂し,その成果を学会にて発表する予定である。
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