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2021 年度 実施状況報告書

感謝体験者による非道徳的行動:恩人の不正を匿う嘘

研究課題

研究課題/領域番号 21K20304
研究機関上智大学

研究代表者

山本 晶友  上智大学, 総合人間科学部, 研究員 (30908851)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード感謝 / 道徳 / 不正 / 嘘
研究実績の概要

本研究の目的は,感謝体験者が感謝対象者の不正を匿う嘘をつくかを検討することである。このために,個人参加型の行動実験を令和3年度から実施中であるが,事前の例数設計通りの観測数に至っていないため,まだ結論づけることはできない。この行動実験は,オンライン参加者プールのアカウント登録の告知が完了してから,サンプリングを再開する。一方,事前に計画していた,新入生が在校生に感じる感謝感情についてのフィールド実験は,実験マテリアルや手続きの準備までは完了していたものの,新入生の心理的負担への懸念などを理由に所属機関の倫理委員会による実施承認を得られなかった。そのため代替となる研究や,別の視点を加えての実験を新たに実施することを検討中である。
また本研究では,感謝対象者の不正を匿う感謝体験者に対する,第三者からの評価が肯定的であるかを検討することも進めている。これについては,実験操作されたシナリオを読んだ上での評定を参加者に求める研究を2件実施済みである。この実験の結果,感謝対象者の不正を匿う感謝体験者に対して「この人物とは互恵関係を構築できそうだ」という肯定的な評価が生じやすくなることが示唆されている。このシナリオ実験の知見は,適度な抽象度を持つために知見の演繹可能範囲が広く,精密な要因操作と統制をした上で因果的な効果を確認できたという点で意義のある知見である。1件目は令和3年10月の学会大会にて発表済みであり,2件目は令和4年5月の学会での発表を登録済みである。また,2件をまとめた上での国際誌への投稿を準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一部,当初計画していた研究の実施承認を所属機関から得られなかったものの,感謝体験者が感謝対象者の不正を匿う嘘をつくかを検討することについては,行動実験を実施できており近日中に終了する目途も立っている。加えて,感謝対象者の不正を匿う感謝体験者に対する,第三者からの評価が肯定的であるかを検討することについては,2件の研究を通して一定の知見を得ることができている。これらの現状に鑑みるとおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

まずは現在実施中の個人参加型の行動実験を,事前の例数設計通りの観測数に至るまで遂行する。そして,ここまで得られた知見が当該手法に固有のアーチファクトではないことを確認するために,現実の感謝生起状況により近い手法など,複数の手法での検討を重ねる予定である。当初はこれを新入生を対象としたフィールド実験で実施しようとしていたが,所属機関の倫理委員会の実施承認を得られなかったため,代替手段で検討する。これらの検討が順調に進展した場合には,観測された現象の調整変数や生起条件をより詳細に検討していく予定である。具体的には,感謝体験者と感謝対象者の関係性や,感謝体験者が行う不正の深刻さといった変数に検討の余地があると考えられる。また,学会大会などで実験結果の公表も進めることで批判的意見を集め,さらなる検討が必要な点を明確にしながら進める。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の感染拡大状況に鑑みて,行動実験を当初予定していた対面実施からオンライン実施に変更したことで,初年度時点で必要な実験材料が想定より安く済んだため。また,初年度までの期間では行動実験に参加同意を得られる人数が想定よりも少なく,実施期間の延長に伴い研究参加謝礼を次年度以降に繰り越す必要が生じたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 感謝により不正の隠ぺいが正当化される可能性の検討:隠ぺいにインセンティブがある場合の検討2022

    • 著者名/発表者名
      山本晶友
    • 学会等名
      第40回日本生理心理学会大会・日本感情心理学会第30回大会 合同大会2022
  • [学会発表] 感謝により不正の隠ぺいが正当化される可能性の検討2021

    • 著者名/発表者名
      山本晶友
    • 学会等名
      日本感情心理学会第29回大会

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公開日: 2022-12-28  

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