本研究は時間的距離化を学業場面に適用した数少ない研究の1つであり,その中でも学業場面における失敗に対する信念に影響することを示したことは初めての成果である。学業ストレスや学習動機づけ,未来志向への波及も併せて,時間的距離化という概念が学業場面において有効であることを様々な角度から明らかにした点で,時間的距離化という方略を理解するための学術的知見を提供できたと考えられる。また,本研究は高校生を主に対象として学業的な失敗をポジティブに捉え適応的な学習を行うための先行要因を明らかにしたという点で,教育場面における介入への応用可能性も高く,一定の教育的意義があるといえる。
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