研究課題
Autism Spectrum Disorder(ASD)は、社会的コミュニケーションの障害や、限定された反復的な行動様式を特徴とする疾患である。ASDと診断された子どものおよそ8割が睡眠問題を抱えている(Cortesi et al., 2010)。このような背景からASD児の睡眠の問題に対するケアの重要性が指摘されている。諸外国ではASD児の睡眠の問題に対する心理社会的ケアの有効性が開発されているものの、わが国ではその有効性はもちろん、プログラムの開発もなされていない。また、ウィズコロナ禍の現在、世界的に遠隔で提供できるプログラムが望まれているものの、国際的に遠隔での提供形態を考慮したプログラムはない。そこで本研究では、研究1として効率的な介入プログラムの開発を目的に子どもとその養育者を対象にした調査研究を実施した。その結果、子どもの睡眠の問題と関連する特定の養育行動が明らかにされた。また子どもの睡眠の問題と養育者の睡眠やメンタルヘルスの問題相互的に関連することが示唆された。研究2では、ASD症状を呈する児童の睡眠問題に対する心理社会的ケアの系統レビューを行い、ASDの睡眠の問題に有効な心理社会的ケアの構成要素の抽出を行った。その結果、ASD時の睡眠の問題に対する介入として、最も多くみられたものが認知行動的アプローチであることが明らかになった。研究1と研究2から得られた知見をもとに、遠隔での提供も可能なASD児の睡眠の問題に対する心理的アプローチの開発を行った。
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保健医療科学
巻: 71 ページ: 432~439
10.20683/jniph.71.5_432