前年度に構築した、2次元流体方程式を全空間で解くコードを用いて以下の研究を行った。まず、厳密解として知られている線型解、減衰渦との一致を確認した。2個の渦領域の融合過程を、全空間および周期領域、それぞれで計算し時間発展を比較した。その結果、周期領域下の方が、減衰が早いことが分かり、その事を数学解析の結果と照合した。次に、より非線型性の強い場合の問題として、3個の渦領域の衝突過程の計算を、やはり全空間および周期領域それぞれで行った。エネルギースペクトルの巾則は、全空間の場合により明確に現れ、全空間での次元解析の予言-11/3 を含む -3 から-4に分布していることが分かった。
3次元流体方程式を全空間で解くコードを構築し、渦輪の繋ぎ変えの計算を始めている。局所的には、周期領域で見られる融合と類似の過程が見られるが、その差異を詳細に検討中である。さらに、より非線型性の強い初期値を取り、エネルギースペクトルの巾則を検討する。特に、有限の全エネルギーを持つ乱流が、-8/3 の指数を持ち得るか否かを調べている。
関連する問題として、粘性流体方程式における対流項の働きに関する研究を行った。速度勾配方程式において、対流項の前の係数を修正すると、爆発が起きることを数値計算で突き止めた。また、係数をもとの流体方程式の値に戻す極限で、爆発時間が発散することを数値的に示した。また、3次元粘性流体の自己相似解の関数形を、数値計算で決定することに成功した。
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