研究実績の概要 |
次の研究成果を得た. (1) 有限連結群スキームがtrigonalizableの場合にその分類空間のレトラクト有理性を示した. 有限群のときと同様, 群スキームの拡大によって分類空間の有理性が破綻すると考えているが, trigonalizableの場合には反例が構成できないことを明らかにした. trigonalizable群スキームのessential dimensionに関する先行研究の議論を分類空間の有理性問題へ応用することによってこの成果を得ることができた. (2) Witt代数の自己同型群スキームのtriangulationの研究を行い, 部分的解決を得た. Witt代数に付随する有限連結単純群スキームに対する有理性問題の解決のために, Witt代数の自己同型群スキームのtriangulationの議論を行った. 最も基本的な場合はtruncated polynomial ringsの自己同型群スキームの場合に帰着され, 既にtriangulationは確立されている. この先行結果の拡張を目指し, 一定の成果を得た. さらなる一般化の方策, 完全なtriangulationの確立の見通しも立てることができるなど, 状況をだいぶ整理することができたと言える. (3) 基本群スキームの最大線形簡約商のプレプリントの大幅な改訂を行った. 有限群スキームの有理性問題に関連する話題として基本群スキームの研究を行った. 当該プレプリントについては数年以上前に投稿していたが, 投稿先ジャーナルが一向に採否の決定を下さず, その間進展があったにも関わらず身動きが取れない状態であった. 今年度ようやく非掲載の決定が下されたので, 進展があった内容を新たな結果として加える形での改訂を行なった.
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今後の研究の推進方策 |
Witt代数の自己同型群スキームのtriangulationを確立し, それをWitt代数に付随する有限連結単純群スキームの有理性問題に応用するという方針で今後も研究を進める. 実際, 有理性問題の解決のためには自己同型群スキームの構造の理解だけでは不十分であり, 一般の局所環上におけるWitt代数のtwisted formの分類なども必要である. この点についても引き続き議論を進める.
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