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2021 年度 実施状況報告書

海洋生態系変遷から紐解く地球環境変動と高品位レアアース泥生成のリンケージ解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20354
研究機関千葉工業大学

研究代表者

見邨 和英  千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 主任研究員 (10909435)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード海底鉱物資源 / レアアース泥 / オスミウム同位体比層序 / イクチオリス / 深層学習 / 画像認識
研究実績の概要

本研究は,新規レアアース資源として注目される深海堆積物「レアアース泥」について,魚類の歯化石「イクチオリス」の観察とオスミウム同位体比分析を実施することにより,資源形成のメカニズムを解明することを目的としている.
2021年度は,化石観察の効率化を目的とした,深層学習を用いた微化石の検出システムについて検討を行った.報告者らが予察的に検討していた,物体検出モデル「Mask R-CNN」を用いた検出手法では,化石以外の粒子を化石と認識してしまうエラーが多数存在することが課題となっていた.この課題を踏まえ,報告者は,物体検出モデルで検出されたすべての粒子について,画像分類モデル「EfficientNet-V2」で再分類を行うことで,精度が格段に向上することを明らかにした.本研究成果は国際誌Applied Computing & Geosciencesに投稿済みであるほか,論文のプレプリント,関連するプログラムコード,データセットをオンラインで公開している.
本研究成果により,従来研究では膨大な時間と手間を要していた化石を探し出す作業を自動化させることができ,観察プロセスが格段に効率化された.また,画像処理を行うことで化石の長さや縦横比といった数値を取得できるようになり,今後はビッグデータを用いた統計的解析などへと発展していくことも期待される.
さらに,北西太平洋の深海堆積物コアODP Site 1149におけるレアアースの異常濃集層付近を対象としたオスミウム同位体比分析を実施した.この結果は,今後実施する化石観察の結果と照らし合わせて解釈する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述した2021年度の研究成果により,効率的な化石観察の手法が整備された.化石観察に必要な作業の大半が自動化されたことにより,今後は別の作業と並行しながらデータを蓄積することが可能になった.
さらに,オスミウム同位体比分析の手法にも習熟し,分析の前処理や装置の立ち上げといった作業を報告者一人で実施できるようになった.これらのことから,効率的にデータを生産する基盤が整備されたといえる.

今後の研究の推進方策

2022年度は,対象とする9本のコアについてレアアース濃集層周辺を対象に,確立した効率的な化石観察を行うとともに,オスミウム同位体比分析を実施する.これにより,海底堆積物にレアアースの濃集が生じる時代と場所を決定するとともに,そこで生じた生物相や海洋環境の変遷を読み解く予定である.

備考

イクチオリスの検出に用いたプログラムコードをGitHubにて公開した.また,用いたデータセットをMendeley Data にて公開した.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 その他

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (3件)

  • [学会発表] Stratigraphic variations in geochemistry and morphology of Fe-Mn micronodules: Implications for the formation process of extremely REY-rich mud in the western North Pacific Ocean.2021

    • 著者名/発表者名
      Yasukawa, K., Kino, S., Ohta, J., Azami, K., Tanaka, E., Mimura, K., Fujinaga, K., Nakamura, K. and Kato, Y.
    • 学会等名
      Goldschmidt Virtual 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 深層学習によるイクチオリス微化石自動検出技術の検討:レアアース泥の堆積年代制約に向けて2021

    • 著者名/発表者名
      見邨和英,三鍋秀悟,中村謙太郎,大田隼一郎,安川和孝,藤永公一郎,高尾和宏,加藤泰浩
    • 学会等名
      日本地質学会第128年学術大会
  • [学会発表] イクチオリス生層序と堆積物の全岩コバルト濃度を制約としたモンテカルロ法に基づく遠洋性粘土の堆積年代決定2021

    • 著者名/発表者名
      見邨和英,中村謙太郎,安川和孝,大田隼一郎,藤永公一郎,臼井洋一,加藤泰浩
    • 学会等名
      JpGU Meeting 2021
  • [学会発表] 南鳥島レアアース泥に含まれるマイクロマンガンノジュールの地球化学的特徴とレアメタル資源ポテンシャル2021

    • 著者名/発表者名
      安川和孝,木野聡志,浅見慶志朗,田中えりか,見邨和英,大田隼一郎,藤永公一郎,中村謙太郎,加藤泰浩
    • 学会等名
      日本地質学会第128年学術大会
  • [学会発表] 海洋の Nd 質量収支計算を用いた超高濃度レアアース泥の生成条件の制約2021

    • 著者名/発表者名
      安川和孝,平松彩人,河原畑智朱,見邨和英,田中えりか,大田隼一郎,藤永公一郎,中村謙太郎,加藤泰浩
    • 学会等名
      第37回希土類討論会
  • [備考] ai_ichthyolith

    • URL

      https://github.com/KazuhideMimura/ai_ichthyolith

  • [備考] eNetV2_for_ai_ichthyolith

    • URL

      https://github.com/KazuhideMimura/eNetV2_for_ai_ichthyolith

  • [備考] Datasets for ichthyolith detection

    • URL

      https://data.mendeley.com/datasets/zdpz6m9gzf/1

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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