研究課題
本研究は,新規レアアース資源として注目される深海堆積物「レアアース泥」について,魚類の歯や鱗の化石「イクチオリス」の観察とオスミウム同位体比分析に基づく高精度な堆積年代決定を実施することにより,資源形成のメカニズムを解明することを目的としている.2022年度は,前年度に確立した深層学習手法に基づいて,南北太平洋の6サイトでイクチオリスの観察を行った.さらに,ここで取得した画像を教師データとして組み込むことにより,より高速・高精度でイクチオリスを検出できる深層学習モデルを開発した.改良したモデルでイクチオリスの検出を行った結果,魚類の鱗の化石が6,600万年前よりも古い時代に豊富に出現するという,先行研究と整合的な結果が確認された.さらに,レアアース濃集層では,より古い時代の堆積物が再堆積したことを示唆するイクチオリスが確認され,高品位なレアアース泥の形成に再堆積が関係していることが初めて示唆された.一方で,北西太平洋の深海堆積物コアで実施したオスミウム同位体比分析の結果,イクチオリス層序によって示唆された堆積年代とは整合的でない同位体比が得られた.この原因としては,堆積物からオスミウムを抽出する酸処理のプロセスにおいて,火山ガラス等の海水に由来しないオスミウムが抽出されてしまった可能性が考えられた.そのため, (1) 海水起源成分だけを抽出できるようにOs同位体分析手法を再検討するとともに,(2) Os同位体年代を従来遠洋域の堆積物において堆積速度の指標とされてきたコバルトのフラックス等を組み合わせてより複合的に年代を制約できる手法の検討を開始した.さらに,本研究で得られた深層学習・画像処理技術に関する知見を活かして,調査船から音響的に取得した画像から,海底熱水活動のシグナルを自動で検出するシステムを開発した.
機械学習に使用したプログラムコードをGitHubにて公開した.また,研究成果の解説をページを所属機関のホームページで公開した.
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (4件)
Economic Geology
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