研究課題/領域番号 |
21K20360
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
真鍋 征也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (40910005)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / 中性子計測 / 水ファントム / アンフォールディング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で用いられる大強度(単位秒あたり単位平方センチメートルに10の9乗程度の中性子強度)加速器中性子場に特化した多物理量の特性評価手法を検討し、施設横断的にBNCT中性子場を評価・比較することで、治療の標準化や更なる普及に向けた基礎となるデータを取得することである。当初の計画では具体的な物理量評価として、中性子場に存在する熱、熱外及び高速領域の中性子強度、γ線の線量率及び室内散乱中性子線強度の評価を目指している。2021年度の計画としては、各BNCT場の情報収集を行い、物理量評価用の検出器の選定及び動作試験を目標としていた。当該年度の主要な成果を以下で述べる。 各加速器BNCT場の情報収集のため、治療が開始されているあるいは開発中の京都大学複合原子力研究所、関西BNCT共同医療センター、南東北病院及び名古屋大学加速器中性子源の見学を行い、現場における中性子計測に関する見識を得た。その結果、人体内部での線量分布を模擬するため、人体を模した水ファントムを用いた計測が行われていることを知った。また、その際の検出器として、金箔あるいは線またはリチウムをベースとしたシンチレーション検出器が用いられているということが明らかになった。 その調査結果を基に本研究でも中性子束の計測のために現場と同様に水ファントムを用いることとした。また、各エネルギー領域の中性子強度の推定のため、水ファントムを用いた中性子エネルギースペクトル導出手法を検討し、産業技術総合研究所の標準中性子源(Cf-252及びAm-Be)を用いた動作試験を実施し、測定結果にアンフォールディングを施すことにより各線源のスペクトルを精度良く再構成できることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画中に目標として掲げていた中性子測定手法の検討及び試験を行えたことから、順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度で中性子測定用の検出手法について検討・試験を行った。今後は試験結果の更なる解析を進め、測定の不確かさ等を検討し、さらに実際のBNCT用加速器施設への適用を目指す。実際のBNCT場での測定を行い、可能であれば複数施設での測定を行い、比較を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
熱及び高速領域の中性子は今年度未購入となった物品で行う予定であった。研究を進めていく内に、当初の研究計画にはなかった水ファントムを用いてエネルギースペクトルを導出する方法を考案することができた。その手法の試験に注力したため、次年度使用額が生じた。使用計画として購入物品は当初と変更なく、次年度のBNCT場における実験において未購入物品を購入し、使用する予定である。
|