研究課題/領域番号 |
21K20361
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
澁谷 達則 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (50874525)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | X線標的 / X線発生 / 超短パルス電子 / 超短パルスレーザー / 動的イメージング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超短パルス電子と液体金属を組み合わせた新しいX線標的の原理実証を行うことである。これにより、X線のパルス性能や輝度、出力を向上させることができ、例えばエンジンやモーターなどの産業機器における動作状態をリアルタイムにイメージングすることが可能となる。 研究開始初年度は、液体金属X線標的の設計を行った。まずははじめに、液体金属の循環方法について検討した。主に、バスプール方式と呼ばれる液体金属の浴槽を真空容器の中に配置し、ブレードなどを含浸して液体金属を循環させる方法とドロップレット方式と呼ばれる液体金属を真空容器上面から滴下する方法の2つに大別されるが、電子ビームのトラッキング計算による検討を行うことで、液体金属と電子ビームが衝突する点の位置をマイクロメートルスケールで位置合わせする必要があることがわかり、位置合わせ可能なドロップレット方式を採用することとした。また、液体金属によるX線発生の予備実験として、超高エネルギーX線発生加速器装置(4MeV)とX線固体標的(0.3mm厚さタングステン)を用いてX線発生の実験を行い、X線の発生及び遮蔽と透過力評価、検出器の動作などを確認した。この予備実験における測定サンプルを動作中のモーターとすることで、パルス状のX線発生の確認や正常な検出器動作を確認した。2022年度中に液体金属ターゲットステーションを開発して導入することでパルスX線発生を試みる。次に、液体金属標的の性能を最大化できる高エネルギーX線発生加速器装置(60keV)の開発についても開発を開始した。電子銃から発生するビームの粒子トラッキングシミュレーションを行うことで、陰極形状、陽極形状、アライメント機構等を含めたX線標的などの設計を行った。また、超高真空システムを立ち上げ、真空度5×10^-7Pa以下の真空度を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体金属標的の製作が遅れた一方、超高エネルギーX線発生加速器装置を用いたX線発生実験を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度内に、X線ターゲットステーションのデザインを決定することができたため、これをもとに次年度内に製造を完成させ、液体標的を用いたX線の発生を行い、液体金属標的を用いた高輝度X線発生の実現を目指す。
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