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2022 年度 実施状況報告書

大気チェレンコフ望遠鏡で拓くガンマ線バーストの物理

研究課題

研究課題/領域番号 21K20368
研究機関広島大学

研究代表者

須田 祐介  広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (70910321)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワードガンマ線バースト / 超高エネルギーガンマ線 / 大気チェレンコフ望遠鏡 / MAGIC / CTA
研究実績の概要

2022年度は、MAGIC望遠鏡が観測したガンマ線バースト(GRB)のデータ解析やCTA LST初号基(LST-1)とMAGICの同時観測データの解析手法の開発を引き続き行った。また、MAGIC観測シフトとLST-1リモート観測シフトを通し運用に貢献した。
大気チェレンコフ望遠鏡が検出した3例目のGRBで、MAGICとしては2例目のGRB 201216Cの解析を行った。この天体は赤方偏移パラメータが1.1と見積もられ、大気チェレンコフ望遠鏡で観測された最遠方の天体である。そのため、数100 GeV以上のガンマ線は銀河系外背景光により強く吸収を受けるため低エネルギーに特化したMAGICデータ解析を行い、完遂した。得られたスペクトルや光度曲線といった結果を他波長観測データと組み合わせ、理論的解釈を加え論文化を進めた。MAGICが高エネルギーガンマ線放射の兆候を捉えたGRB 201015Aは、比較的暗いGRBで上のGRBと同様にMAGICにとって挑戦的な天体である。私は研究チームリーダーとしてプロジェクトを推進し、解析カットの最適化やMAGICコラボレーション会議にて発表を行うなどして解析を完遂した。このGRBについても、他波長観測データと組み合わせて論文化を進めた。GRBの観測的研究を含むMAGICコラボレーションの最新成果について国際会議で発表した。
観測感度向上に有効なMAGICとLST-1の同時観測について、解析パイプラインを構築する国際チームのまとめ役の一人としてプロジェクトを推進した。モンテカルロシミュレーションや標準光源であるかに星雲の実データを用いてパイプラインを完成させ、MAGIC (LST-1)単体観測に比べて30% (40%)暗い天体まで検出できることがわかり、LSTアレイが完成するまでの強力な観測体制であることを示した。論文化を進めつつ、成果を国内学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大気チェレンコフ望遠鏡によるGRB検出の例は依然少なく、GRB 201216Cは大気チェレンコフ望遠鏡で観測された最遠方の天体、ガンマ線放射の兆候を得たGRB 201015Aは比較的暗いGRBであり、どちらも入念な解析・系統誤差の評価や理論的解釈が求められ、本年度中の論文発表が達成できなかった。しかしながら、Dr. Berti、Dr. Fukamiや京都大学大学院生らと協力し、低エネルギーに特化したMAGICデータ解析や解析カットの最適化などを行い解析を完遂し、得られたスペクトルや光度曲線といった結果を他波長観測データと組み合わせ、理論的解釈を加え論文化を進めることができた。特にGRB 201015Aでは研究チームリーダーとしてプロジェクトを推進した。GRBの観測的研究を含むMAGICコラボレーションの最新成果について国際会議で発表し議論を行なった。
MAGICとLST-1の同時解析パイプラインはDr. Sitarekや東京大学大学院生らと共同で開発を進めた。観測サイトであるラ・パルマ島での2021年9月から約3ヶ月間に渡る噴火活動による観測中止とその後のデータ品質の変化により、開発に使用できる観測データが限られたため、開発に想定よりも多くの時間を要した。同時解析によりMAGIC単体解析では除去されていた事象をLST-1の情報を使い救い出すことで有効面積が拡大すること、また3台でのステレオ観測により背景事象除去能力が向上することがわかった。これらにより、MAGIC (LST-1)単体観測に比べて30% (40%)暗い天体まで検出できることがわかり、LSTアレイが完成するまでの強力な観測体制であることを示した。本年度中の論文発表を達成できなかったが、成果を国内学会で発表した。

今後の研究の推進方策

GRB 201216CとGRB 201015Aの成果をそれぞれ論文として発表する。得られた最新の知見と先行研究結果を基にガンマ線バーストのガンマ線放射機構の謎に迫り、国際学会において発表し広く議論を行う。また、MAGICとLST-1による同時観測のための同時解析パイプライン開発とその性能評価に関する成果を論文として発表し、国際学会において発表し議論を行う。開発したパイプラインを活用し同時観測を行ったガンマ線バーストのデータ解析も行う。

次年度使用額が生じた理由

MAGICが観測したGRB 201216CとGRB 201015Aの最終結果およびMAGICとLST-1による同時観測のための同時解析の性能評価に関する最終結果を論文発表・国際会議で発表するまでに至らなかったため。次年度の夏にヨーロッパで開かれる国際学会で報告するための旅費等に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] MPI for Physics(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      MPI for Physics
  • [国際共同研究] IFAE(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      IFAE
  • [国際共同研究] INAF/INFN/U. Trieste(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      INAF/INFN/U. Trieste
    • 他の機関数
      2
  • [国際共同研究] U. Zagreb(クロアチア)

    • 国名
      クロアチア
    • 外国機関名
      U. Zagreb
  • [国際共同研究] U. Lodz(ポーランド)

    • 国名
      ポーランド
    • 外国機関名
      U. Lodz
  • [学会発表] CTA-LST初号基とMAGICによるTeVガンマ線同時観測のための解析手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      須田祐介、今澤遼、大谷恵生ら、他 CTA LST project、MAGIC Collaboration
    • 学会等名
      日本天文学会2023年春季年会
  • [学会発表] Recent highlights of very-high-energy gamma-ray observations by the MAGIC telescopes2023

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Suda on behalf of the MAGIC Collaboration
    • 学会等名
      International Conference on the Physics of the Two Infinities
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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