沈み込みプレート境界で発生する低速な断層滑り現象(スロー地震)は、地震活動を誘発することが知られている。しかし、現在、世界で標準的に使用されている地震活動統計モデルには、スロー地震の地震活動誘発効果が全く考慮されていない。そのため、プレート境界でスロー地震が発生した際、地震活動統計モデルに基づく地震発生確率予測の結果と、実際に観測される地震活動が大きく乖離するという問題があった。本研究は、主にニュージーランド・ヒクランギ海溝における地震学的・測地学的観測データの解析にもとづいて、スロー地震の地震活動誘発効果を定量化し、それを地震活動統計モデルに初めて組み込むことで、この問題を解決した。
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