黒潮海流系の変動要因として寒候期の大気変動が重要であることを観測資料解析と数値モデル実験の両面から示した。過去の研究でも寒候期大気場の重要性は議論されたが、決定的な根拠は提示されずにいた。本課題の成果は、黒潮海流系研究における長年の課題を解決するものである。 北西太平洋の海洋環境の形成に深く関わる黒潮海流系は、日本をはじめとしたアジア諸国に温和な気候や豊かな水産資源をもたらす。その一方で、時に大雨や熱波といった災害の発生に関係する。本課題で得た黒潮海流系の変動特性に関する知見は、気候変動や防災、産業など様々な観点でこれからの暮らしを考えるための基礎になると期待される。
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