研究課題/領域番号 |
21K20389
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金野 佑亮 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10907728)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 火災 / 燃焼 / 燃え拡がり / 消炎 / 複合材 / 電気火災 / 熱損失 |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究では,銅箔と紙フェノールから構成されるプリント基板を対象に,燃え拡がりと消炎現象に及ぼす試料幅の影響を調査した.実験では試料の保持方法に工夫を施し,燃え拡がり時における,試料の側面から保持具への熱損失を低減するために,両サイドに空間を設け,その空間幅も実験変数として,試料の燃焼特性を体系的に調査した. その結果,プラスチックや布などの可燃物単体の燃焼試験で使用される,試料の両サイドを金属板などで挟み込む保持方法をプリント基板のような複合材に流用すると,試料の中央から側面の方向に大きな熱損失を生み出し,材料の難燃性を非常に高く見積もってしまうことが明らかになった.このことから,試料側面に空間を設けて燃え拡がりを観察する方法論が,難燃性評価の観点から有効な手法であることを実験的に示した. しかしながら,試料側面の空間を大きく取りすぎると,試料の角部において三次元的な燃え拡がり形態を取り,燃え拡がりが複雑化することで現象の理解が困難になることが明らかになった. 理想的には,平面を一様に燃え拡がる二次元燃え拡がりを実現することが望ましく,側面への熱損失を低減しつつ,角部の3次元燃え拡がりも防止する最適な側面の空間サイズが存在すると考えられる. このことを踏まえて,試料幅も変数として,試料側面の空間影響について調査した結果,二次元燃え拡がりを実現する最適な間隙距離は試料幅によって変化することが明らかになった.今後,プリント基板のような複合材に置いて理想的な二次元燃え拡がりを実現するための理想的な間隙距離を議論可能な支配メカニズムについてさらなる検討を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は,当初の計画に沿って順調に研究を進めることができた. 研究で得られた成果は,国内学会・国際会議で発表している. また,燃え拡がりに及ぼす角部の燃え拡がり影響に着目した理論解析については,既に国際学術誌に投稿している.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度では,当初の計画通り,複合材の燃焼特性に対する試料幅と試料側面の空間影響について実験的調査を行った. 当初の計画では,試料を保持する際の,試料側面の空間については,ある理想的な条件を探索して固定する予定であったが,試料幅や酸素濃度条件によって理想的な空間サイズが変化することが明らかになった. そのため,今後は試料側面の空間サイズも新たな実験変数に加えて実験を進める.
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