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2021 年度 実施状況報告書

加熱中の固液界面のナノスケール3次元計測による発泡初期過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20405
研究機関九州大学

研究代表者

手嶋 秀彰  九州大学, 工学研究院, 助教 (60906220)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード核沸騰 / 原子間力顕微鏡 / 固液界面 / MEMS / ナノバブル
研究実績の概要

沸騰伝熱は広い分野で応用されているが、加熱中の固液界面をミクロン以下のスケールで計測できる技術が存在しないために核沸騰開始など未解明な問題が依然として残る。本研究では、核沸騰の最初期段階で何が起きているかを調査するために、今まで不可能であった加熱中の固液界面のナノスケール3次元計測を実現する原子間力顕微鏡(AFM)システムを開発している。
本研究の肝であるごく薄い液体を保持できる液膜セルについては、透過型電子顕微鏡に用いられるスペーサー付窒化シリコン製ウィンドウを流用することで開発に成功しており、当初の計測対象であるマイカ基板上で水の液膜を保持できることを光学顕微鏡によって確認している。また流体力学に基づいた解析によって、液膜は10 μm程度まで厚くても加熱による自然対流は生じないことがわかった。
当初は探針と液膜セルの干渉を防ぐために直径2 μm、長さ100 μm程度のシリコンロッドを探針先端に取り付ける予定であり、実際にマニピュレーション技術を用いることで作製には成功したが、ロッドが細すぎるために座屈してしまいAFM計測が失敗してしまうことが分かった。現在はより太い直径30 μmのタングステンワイヤを代わりにとりつけることで問題解決を図っている。
また、液膜と探針の間にメニスカスが形成されることで界面張力由来の応力が働き、安定したAFM計測が阻害されることが判明した。これは液膜の厚みを300 nm程度までに抑えるとともに、探針表面を撥水性に改質することで改善されると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究に最も重要である液膜セルの開発に成功しており、その内部の液膜観察に必要となる先端延伸AFM探針の開発も順調に進んでいるため。また液膜内部観察に必要な条件も判明してきており、先端を延伸させた探針が完成次第すぐに固液界面のナノスケール観察に取り掛かることができるため。

今後の研究の推進方策

液膜セル内を観察できる先端延伸探針を作製次第、加熱中の固液界面のAFM観察に取り掛かる。マイカや単結晶基板といった原子レベルで平坦な試料表面と、原子数個分の段差構造を具備する高配向性グラファイト表面での計測結果を比較することで、原子オーダーの構造が発泡初期過程に与える影響を調査する。また、撥水性の試料表面に存在する微小な気泡(ナノバブル)や気体分子の吸着層も観察し、加熱に対する応答をリアルタイムで計測することで、溶存ガスに由来するナノ気泡が沸騰現象の最初期段階に与える影響まで調査したい。

次年度使用額が生じた理由

研究室が所持していた透過型電子顕微鏡(TEM)用のスペーサー付窒化シリコン製ウィンドウを流用することで、液膜セル作製のために購入予定であったTEMグリッドや蒸着用金属ターゲットを購入する必要がなくなったため。
次年度に繰り越した分は、消耗品の購入と学会発表旅費、学術論文投稿費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Quantifying interfacial tensions of surface nanobubbles: How far can Young's equation explain?2022

    • 著者名/発表者名
      Teshima Hideaki、Kusudo Hiroki、Bistafa Carlos、Yamaguchi Yasutaka
    • 雑誌名

      Nanoscale

      巻: 14 ページ: 2446~2455

    • DOI

      10.1039/D1NR07428H

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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