研究課題/領域番号 |
21K20406
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂口 聡範 九州大学, 先進電気推進飛行体研究センター, 助教 (90912692)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 変形ドローン / 平行リンクモジュール / 災害時タスク |
研究実績の概要 |
本研究は,3軸変形ドローンを創造し,様々なタスクに応用することでその汎用性を示すことを目指す.2021年度は,(1)3軸変形ドローンの開発,(2)従来手法を拡張した制御アーキテクチャの提案,(3)変形飛行実験と応用実験,を行った. はじめに,従来ドローンと同じ飛行効率を保ちながら,できるだけ少数の追加アクチュエータで,機体自由度向上と機能多様化を両立するフレーム構造を提案した.平行リンクを組み込んだチルト可能なフレームを1個のモジュールと考え,4個のモジュールを数珠つなぎに連結したフレームである.このフレームに3個のアクチュエータを追加することで,4自由度から6自由度への機体自由度の向上およびロール・ピッチ・ヨー方向への3軸変形機能の獲得に成功した.また,複数個のバッテリーを分散させて配置することで,どのような変形状態でも従来ドローンと同じ効率で飛行できるフレームの設計手法を示した. つぎに,平行リンクモジュールによってどのような変形状態でも全ロータ面が平行であるという,従来ドローンと同じ性質を利用して,従来手法を拡張した制御アーキテクチャを提案した. さらに,変形飛行実験と応用実験により,開発したドローンの変形機能,制御アーキテクチャの有効性,災害タスクに対する汎用性を確認した.変形飛行実験では,提案制御手法を用いて,固定された変形状態での飛行および空中での連続変形を伴う飛行を達成した.応用実験では,ヨー方向にフレーム形状を収縮させて物資を把持することで支援物資の輸送を実現した.それに加えて,3方向にフレーム形状を変形させて,水平片持ちポール・水平両持ちポール・垂直片持ちポールの3種類のポールに鳥のように止まれることを示した.このパーチ機能により,モータを停止させた状態での災害現場の長時間リモートセンシングが可能になる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,2021年度は3軸変形ドローンの開発および変形飛行実験,2022年度は災害タスク(被災者の捜索,狭隘な隙間の通り抜け,支援物資の輸送)に対する応用実験を実施する予定であった.しかしながら,機体開発がスムーズに行えたため,応用実験の一部にも取り組めた.特に,支援物資の輸送の達成に加えて,フレームの変形をうまく活用したポールへのパーチという,当初は想定していなかった応用例を見出し実現できた.これらの研究成果は国際論文誌に投稿済みである.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は残りの応用実験(被災者の捜索,狭隘な隙間の通り抜け)を行う.
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