研究課題
金属ガラス(MG)の機械的性質の起源はほとんど明らかになっておらず、密度汎関数理論(DFT)に基づく信頼性の高い第一原理計算手法は、MGの変形機構の理解の有効な手段になり得る。しかし、このような理論的研究は大規模な計算資源を必要とするため、非晶質材料の分野ではほとんど行われてこなかった。本研究では、応力状態を原子レベルで特徴づけるために、DFTにおける原子応力計算というユニークな方法を採用しました。原子応力計算は古典的なMDでは一般的であり、これまでの研究で原子応力に関する相当量のデータが得られている。しかし、DFTでは原子のペアフォースが利用できないため、その枠組みでの原子応力の計算方法は古典的MDでの原子応力とは異なり、結果を直接比較することができない。原子応力に基づくフォン・ミーゼス応力は、本研究で初めて示されたように、DFTとMDで同じ挙動を示しており、その問題を解決することが確認された。また、本研究の意義は、CuZrアモルファス系のせん断ひずみによる変化を示す局所パラメータについて、応力や原子位置変化など古典的MDで得られるパラメータと、電荷移動、局所状態密度(PDOS)の変化などDFTでしか得られないパラメータを含む一貫したデータセットを構築したことにある。このデータセットに基づき、原子のフォンミーゼス応力とフェルミレベル近傍のPDOS変化との間に弱い相関があることを立証した。また、d軌道のPDOS変化はZr原子の方が大きく、これはZrの結合がより方向性を持つことを説明する。したがって、本研究は、電子状態の変化に関する情報によって、これまで知られていた金属ガラスの変形の理解を深めるものである。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Computational Materials Science
巻: 219 ページ: 112010~112010
10.1016/j.commatsci.2023.112010
Results in Materials
巻: 17 ページ: 100364~100364
10.1016/j.rinma.2023.100364
https://researchmap.jp/IvanLobzenko