研究課題/領域番号 |
21K20420
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
齋藤 慎平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80909606)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 泡沫 / 気泡 / 界面活性剤 / ソフトマター / 混相流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,泡沫を構成する液膜の幾何学構造やその移動といった,泡沫の微細かつ非定常な挙動や巨視的特性を明らかにするための計測技術を開発することである。 2022年度においては,前年度までに製作した実験装置を用い,テスト部へ流入させる泡沫の流量や初期液位をパラメータとした実験を包括的に実施し,流動状態にある泡沫の詳細可視化および圧力損失の同時計測データ拡充を図った。一連の実験結果を整理したところ,流入させる泡沫の流量が大きくなるほど,泡沫を構成する液膜の厚さが定性的に増加することがわかった。また,界面活性剤水溶液の液面と流出面との距離が大きくなるほど,ドライな状態で泡沫が流出させられることがわかった。本研究では,ベンチュリ管を用いてマイクロバブルを槽内に吹き込み,マイクロバブル同士の自発的な合一により泡沫を生成させているが,可視化の結果,生成された泡沫の気泡径はサブミリから数ミリスケールの分布を有していることがわかった。泡沫ドライあるいはウェットな状態にあるかによって,同時計測された圧力損失の傾向に違いがみられた。ウェット状態の泡沫については,流量に比例した圧力の増加が見られた一方で,ドライ状態の泡沫については高流量において,圧力損失が大きく変化しない様子が見られた。これは,泡沫を構成する液膜の厚みや,幾何学構造の影響と考えられる。泡沫の流量や初期液位といったパラメータを制御することにより,泡沫のドライ/ウェット状態や,泡沫を構成する気泡の平均的なサイズを能動的に制御できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に製作した実験装置を用いて,異なる流動様相を見せる一連の実験データを取得できたため。
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今後の研究の推進方策 |
各種の条件下で取得した泡沫の計測データを詳細に整理し,気泡サイズやその分布をまとめ,対比可能な先行研究等との比較,考察を行う。これにより,流動状態にある泡沫の運動特性や幾何学形状に関する知見を一般化し,学術誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19により,参加予定の学会の開催が遅れ,これに合わせて旅費,参加費として翌年度分に請求した。
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