本研究の目的は,泡沫を構成する液膜厚さやその移動といった,泡沫の微細かつ非定常な挙動と泡沫の巨視的特性を明らかにするための計測技術を開発することである。 まず,本研究の計測対象である泡沫を槽内で生成させその泡沫を観察するための実験装置を製作した。陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の水溶液を満たした槽内にマイクロバブルを連続的に注入し,気泡の浮上,合一,成長の効果を利用して槽内に泡沫を生成可能とした。また,生成した泡沫を2次元平板間から流出させ,水平方向に運動する2次元泡沫の挙動を捉えた。槽内の初期条件および槽内に注入する気相流量に応じて,泡沫がドライ状態からウェット状態へと遷移する様子を観測し,同期計測した差圧(泡沫流の圧力損失)データと流動様相に相関がみられることがわかった。 さらに,並行して,光ファイバプローブを用いた気液界面計測の構築を進めた。LED光源から出力したビーム光を対物レンズでプローブに集束させ,その戻り光は偏光板を介してフォトディテクタで検出した。さらに,この光ファイバプローブを,上述の流動する2次元泡沫に適用した。カメラによる観察と同期させ,泡沫を構成する液膜と気泡との接触を繰り返すような泡沫に特徴的な信号を,10 us以下の高時間分解能で捉えることができた。 最終年度は,泡の生成方法を見直し,より均一で再現性に優れる泡沫の評価するための実験系検討を進めるとともに,気泡同士の重なりのため画像処理による評価が困難な泡沫流動様相に対して機械学習を用いることで泡径分布の評価が可能である見通しが得られた。
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