従来の半導体を使った電子計算機とは異なるアプローチで情報処理を行う非従来型のコンピューティングの研究が近年盛んに行われている。そのようなアプローチの一つとして機械的な要素を電子回路における素子のようにして情報処理を行うメカニカルコンピューティングがあるが、まだその地位を確立するには至っていない。本研究では、折り紙構造に基づくメカニカルメタマテリアルに注目し、外部からの入力を機械・材料特性の情報として表現し、機械要素を用いて情報処理を実行するネットワークの探求を試みた。研究の対象としたメカニカルメタマテリアルは、折り紙ユニットセル要素の様々な幾何形状(特に折り目部の厚み等)や周期的配置を考慮し、その機械特性の評価を数値解析により行った。数値解析をするにあたり、折り紙ユニットセル要素を平面部と折り目部から構成される構造としてモデル化を行った。折り紙の折り挙動における幾何形状やユニットセル要素の配置の影響について静的・動的解析の両面から調査し、解析結果から幾何形状の中でも特に折り目部の設計パラメータが与える影響が顕著であることが示唆された。また、数値解析により得られた結果を踏まえ、折り紙構造体のプロトタイプの試作を実施し、折り紙構造に基づくメカニカルメタマテリアルの製作の実現可能性についての検証を行った。樹脂材料および金属材料を用いた積層造形により3次元の折り紙構造を製作し、特に折り目部を平面部とは異なるパラメータで設計した際の影響について確認できた。
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