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2021 年度 実施状況報告書

スピントルク発振素子の磁化ダイナミクス解明のための新規計測技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K20434
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

首藤 浩文  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 主任研究員 (00912940)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワードスピントルク発振素子 / 同期 / injection locking / 磁気記録 / マイクロ波アシスト磁化反転
研究実績の概要

スピントルク発振素子(STO)は直流電流を通電することにより数GHzから数10GHzの周波数での磁化発振が生じるナノサイズのスピントロニクスデバイスである。STOには様々な応用が期待されているが、ナノサイズの磁性体における高速な磁化ダイナミクスを解析し、制御することは困難であり、実用化への障壁となっている。
本研究では、STOの計測技術開発、材料開発を目的とする。
all-in-plane型STOに外部からマイクロ波磁界を印加した際のinkection lockinを用いたSTOの評価手法に関して、実験に必要な物品の選定と導入を完了した。さらに、スピントルクによって生じる磁化反転を検出することでスピントルク効率を見積もる測定手法を提案した。この新規手法を、STOの新規構造において注目されている負のスピン分極を有するFeCrを用いた。FeCrから得られた磁気抵抗比は、代表的な正のスピン分極を有するNiFeと比較して1/10程度と非常に小さかったが、STT効率はNiFeに対して1/2程度であった。この結果はSTT効率はMR比からだけでは正確に見積もることができないことを示しており。提案した測定手法の有効性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

all-in-plane型STOに外部からマイクロ波磁界を印加した際のinkection lockinを用いたSTOの評価手法に関して、実験に必要な物品の選定と導入を完了したが。しかしながら、マイクロ波磁界を印加するためのアンテナを有するSTO素子の作製の微細加工方法の確立に時間を要している。
スピントルクによって生じる磁化反転を検出することでスピントルク効率を見積もる測定手法においては理論的に予測される、「磁化反転に必要な電流が外部磁界に対し線形に増加する」という結果を得た。また磁化ダイナミクスを記述するLLG方程式に基づく結果の解析手法を確立した。

今後の研究の推進方策

all-in-plane型STOに外部からマイクロ波磁界を印加した際のinkection lockingの実験に関しては、下部電極とマイクロ波磁界用アンテナ電極を共通とする素子構造について検討し、素子作成を行う。
スピントルクによって生じる磁化反転を検出することしスピントルク効率を見積もる手法に
関しては、今後組成傾斜膜を利用した効率的な材料探索を実施する。

次年度使用額が生じた理由

導入予定の物品に関して、一部、現有設備を使用するなどしたため、次年度使用額が生じた。次年度には素子に磁界を印加するプローバの改造、および測定に必要な位相シフタなどの高周波コンポーネントの導入し使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Study on FeCr thin film for a spintronic material with negative spin polarization2022

    • 著者名/発表者名
      Suto Hirofumi、Nakatani Tomoya、Kota Yohei、Asam Nagarjuna、Iwasaki Hitoshi、Amemiya Kenta、Mitsui Takaya、Sakai Seiji、Li Songtian、Sakuraba Yuya
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials

      巻: 557 ページ: 169474~169474

    • DOI

      10.1016/j.jmmm.2022.169474

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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