研究課題/領域番号 |
21K20435
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 晃平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (30909552)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 |
研究実績の概要 |
本研究では次世代太陽電池として注目されている軽量フレキシブルなペロブスカイト太陽電池の成膜工程における結晶核成長制御を可能とする成膜・乾燥手法を確立し、大面積で高性能なペロブスカイト太陽電池を開発している。従来、研究室レベルでは□30mm程度の基板を用いた小面積な太陽電池をスピンコーティング法によりペロブスカイト太陽電池の開発を行っていた。近年量産化に向けて国内外で機運が高まっているが、従来のスピンコーティング法では大面積化することが困難で製造タクトタイムを早くすることもできずコストがかかることが問題である。また、生産安定性を高めるためにどのような雰囲気で連続的な作製をしていくべきか学術的に明らかになっていない。本研究では量産応用可能な塗布法であるブレードコーティング法を用い、新規乾燥技術下での結晶成長メカニズムとデバイス耐久性との関係性について明らかにしていく。2021年度は装置の構築とペロブスカイト膜の製膜条件を探索した。近年、スピンコーティング法で広く用いられているペロブスカイト膜であるCs0.05(FA0.89MA0.11)0.95Pb(I0.89Br0.11)3のように様々なカチオンとハロゲンが混ぜ合わさった材料系に対しても本研究のブレードコーティング法と新規乾燥技術下を組み合わせて用いることにより4m/minといった比較的速い成膜速度で製膜できることを確認した。また本研究手法で製膜したCs0.05(FA0.89MA0.11)0.95Pb(I0.89Br0.11)3膜は、従来のスピンコート法と同等な太陽電池性能を発現させることができ、特許1件の出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小面積セルでスピンコート法と同等な太陽電池特性を得ることができ特許の出願も行った。また、ここまで製膜した際の様子は映像として納めており、画像解析とペロブスカイト太陽電池の性能を紐づけられる環境も整えている。大面積化に向けてもバックアッププランとして従来のスピンコート法も用いながらプロセス条件の探索ができており、ブレードコーティング法への応用の準備もできている。
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今後の研究の推進方策 |
大面積化に向けてもバックアッププランとしてスピンコート法も用いながらプロセス条件の探索ができており、ブレードコーティング法への応用を試みる。ここまで製膜した際の様子は映像として納めており、画像解析とペロブスカイト太陽電池の性能を紐づけしていくことで高効率なペロブスカイト太陽電池を生み出すプロセス条件を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
有機溶媒Vocセンサーについては当初購入予定のものが廃盤になり入手困難で代替品の選定が遅れたため来年度の購入を行う。装置デモにより使用範囲を満たせることは確認できている。また低温用チラーについてはまず研究室内の装置を代替としてしようしたところ効果が見えてきているため購入を見送った。
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