1年目に実施した液状化エネルギー容量に関する解析では、排水微小せん断履歴によって強化された土粒子構造を持つ供試体は、履歴を受けていない供試体と比較して、同一試料、同一密度、同一CSRであっても液状化エネルギー容量が大きくなることを示した。この容量増大と、繰り返しせん断履歴の直前におけるせん断波速度から算出される微小せん断剛性率を比較した結果、両振幅軸ひずみ5%で定義される液状化エネルギー容量と有意な相関が確認された。 2年目に当たる最終年度では、かみ合わせ効果とセメンテーション効果の両者に着目した検討を行った。具体的には早強ポルトランドセメントの添加率と供試体作製方法を変化させることで、擬似的にセメンテーション効果とかみ合わせ効果を付加した砂質供試体を作製し、非排水繰り返しせん断試験を実施した。 結果として同じセメント添加率でも異なる供試体作製方法の場合、せん断波速度が変化することが確認できた。また繰り返しせん断過程において連続的に計測したせん断波速度を、相乗平均有効主応力と比較すると、べき乗に沿うようなトレンドが見られたが、このトレンドはせん断前の圧密過程におけるトレンドとは異なっていた。この現象は繰り返しせん断によるセメンテーション効果の喪失を何らかの形で表現していると考えている。 また非排水繰り返しせん断中の正規化累積損失エネルギーに関する検討では、セメント添加率を変化させても正規化累積損失エネルギーと過剰間隙水圧比の関係は変化しない点が確認された。また両振幅軸ひずみと過剰間隙水圧によって定義された液状化時点での正規化累積損失エネルギーについて整理したところ、過圧密によってかみ合わせ効果を与えた試料とは異なり、セメント添加率はエネルギーに有意な違いをもたらさなかった。
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