本研究では、原子力・火力発電所の配管において、配管に貫通穴を形成する「液滴衝撃エロージョン」の詳細なメカニズムの解明と減肉分布推定技術の開発を目指している。本年度(2022年度)は、1)高速液滴衝突現象の数値解析・2)減肉分布推定技術の開発を並行して進めた。 1) 高速液滴衝突現象の数値解析については、壁面近傍に存在する液膜を考慮した高速液滴衝突現象を詳細に分析することにより、液滴衝突後の液滴と液膜にかかる衝撃力が衝撃波の時間スケールで変化することを確認した。また、液膜厚さと液滴衝突速度を用いることで、液滴衝突時に発生する衝撃力を精度よく評価できることを明らかにした。 2) 減肉分布推定技術の開発については、衝撃波を計測する力センサと金属プレートからなる減肉センサを開発した。減肉進行時に発生する減肉深さと衝撃力をモデリングすることで、減肉推定が可能となった。また、減肉実験ならびに表面粗さ計測を実施し、減肉進行が急激に変化するメカニズムを考察した。減肉速度分布の低次モードが減肉進行において重要であることが分かった。
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