研究課題
本研究は高潮と洪水による複合氾濫災害を対象に,新たな数値モデルの構築と,それを運用することによる都市域での複合氾濫に対するハザード評価を実施した.まず波浪・高潮結合モデルに対して河道を直接組み込み,河川流を考慮可能としたモデルを構築した.さらに上流からの洪水流に対しては降雨流出モデルの計算結果を利用し,モデル境界では時々刻々と変化する流量をシームレスに水位へと変換しながら結合した.実際の運用では,大阪湾(2018年台風21号)と伊勢湾(2018年台風24号)を選定し,評価を実施した.また極端事例として2019年台風19号クラスの台風が伊勢湾・三河湾に襲来したことを想定し,複数の進路を用いた感度実験も実施した.これにより,許容流量の小さい中小河川では,高潮と洪水の時差が短く,複合氾濫リスクが極めて高いことを定量的に示した.また,中小河川では台風経路に依らず,高潮と洪水の時刻差が短くなる傾向にあり,伊勢湾の天白川,三河湾の柳生川・梅田川は高リスクであることが明らかとなった.本研究で得られた成果は,台風襲来時の高潮と洪水による複合氾濫を対象にした新規性の高い研究結果であり,期間中に国内外の論文誌(計7本)に投稿された.また最終年度の成果も多くそれぞれ英文誌,国内誌に投稿中である.さらに期間中には成果を学会発表しており,他機関の研究者との活発な議論を交えながら進めることができた.研究期間全体を通して,当初の計画よりも進んで成果を上げており,今後の発展がより期待される.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Coastal Engineering Journal
巻: 64 ページ: 190~215
10.1080/21664250.2021.2002060
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Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B2 (Coastal Engineering)
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10.2208/kaigan.78.2_I_403
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10.2208/kaigan.78.2_I_193