研究課題/領域番号 |
21K20448
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河邊 大剛 京都大学, 地球環境学堂, 研究員 (30907522)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 構造ヘルスモニタリング / 維持管理 / 画像処理 / 異常検知 / 橋梁振動 / 柱状構造物 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,撮像装置によって取得された橋梁の動画データを振動情報に変換し,すでに構築された橋梁の異常検知技術に適用することで,経済的恩恵が大きい橋梁異常検知手法を構築することである.そのために,動画の画角内から対象となる構造物を抽出し,振動情報に変換する手法の構築について本年度検討を行った. 構造物の振動は微小であり,未加工で抽出することは難しい.そこで画角全体に構造物の振動帯域を含むバンドパスを設定し,位相差に拡大倍率を乗じて対象物の振動特性を大きく見せることができるPhase-based motion magnification手法の適用を行った.対象構造物として,当初予定していた実際の橋梁ではなく,室内実験施設に設置した実物大の柱状構造物を用いた.これは撮像機器本体の振動や外気温変動による振動特性の変動を抑制し,動画からの振動特性抽出精度を向上させるためである.拡大後の動画から振動波形を抽出することに成功したものの,そこから推定される柱状構造物の固有振動数は,直接設置された加速度センサから推定される値と比較すると低い値となり,推定精度に課題が残った. これは画角内の背景等の変化が手法の適用時にノイズとして影響したためと考えられる.そこで,本手法の適用の前処理として,反復セグメンテーションを使用した背景除去手法の適用の検討を進め,効果的に動画から振動特性を抽出する方法の検討を現在進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り,半年間の計画は概ね滞りなく実施された.当初予定していた対象物は実物橋梁であるが,柱状構造物の室内実験の検証が実施された後に予定する.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果をもとに方針を変更する点は以下のとおりである.それ以外については引き続き当初研究計画に従う. ・動画から振動特性を抽出する過程において,背景除去の前処理工程を導入し振動特性推定値の精度向上を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実物橋梁の現場計測から,室内実験施設での柱状構造物の計測に変更したことにより,現場計測のための旅費の支出が生じなかった.また昨今のパンデミックの状況を鑑み,計測補助を学生に依頼しなかったため,予定していた謝金の支出が生じなかった. 次年度では,室内実験計測から得られたデータ解析について追加で学生に依頼する際の謝金に割り振る予定とする.
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