研究課題/領域番号 |
21K20450
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大森 文彦 横浜市立大学, グローバル都市協力研究センター, 特任助教 (00910762)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | TOD / 新型コロナウイルス感染症 / 公示地価 / テキストマイニング |
研究実績の概要 |
2021年度は海外への渡航が難しかったため,本課題のうち国内の調査事項に焦点をあて,調査研究を実施した。 具体的には,新型コロナ感染症流行を受けて,東京都市圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)の地価がどのように変化し,その主たる要因が何であったかを調査した。まずコロナ感染症が流行する前に地価調査が行われた2020年の公示地価と,感染症流行後に鑑定が行われた2021年度の公示地価を比較した。これにより,東京都市圏の大半の地域・自治体で地価の下落が見られた中で,地価の上昇が見られた地域が限定して見いだされた。新型コロナ禍にあって,地価が上昇した地域には,どのような特徴があるのかを調べるため,公示地価資料に付属する不動産鑑定士の鑑定コメントに着目し,鑑定コメントをテキストマイニングすることで,地価が上昇した各地域の特徴を抽出・分析する手法を試みた。 テキストマイニングを用いた分析の結果,地価が上昇した地点には,①東京へのアクセスと日常生活の利便性がバランスした戸建住宅地,②県庁所在地の中心地として一定程度の商業・業務需要が集積する地域,③ネット通販事業拡大を受け,物流施設の立地が見込まれる地域,④アクアラインやリニア新幹線新駅などの都市基盤整備を受け,局所的に不動産需要が高まっている地域,といったいずれかの特徴を有することが分かった。 上記の研究進捗に関して,前半にあたる地価変動に関する地理情報データによる分析を,2022年度建築学会大会(査読なし)にて発表予定であり,後半にあたるテキストマイニングと分析に関する研究を同年度都市計画学会大会(査読中)にて発表する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は海外への渡航が難しかったため,本研究課題で企図していた東南アジア諸国の事例調査を,まだ実施できていない。東南アジア各国における入国・検疫のレギュレーションは異なるため,複数国を一度に巡るような旅程が組みにくい点も懸念材料である。今後,レギュレーションが緩和されている国から優先的に渡航・調査を実施したいと考えている。 国内の研究に関しては,研究を進める中で,新たな課題や関係者とのリレーションなども生まれてきたため,今後も継続的に調査研究を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,本研究で企図していた東南アジア各国の都市におけるTOD事例調査を,検疫等が緩和され渡航が現実的に可能な国から,順次開始したい。既に人的な関係を築けている現地の大学の研究者とコンタクトを取りながら具体的な渡航・調査計画を作成し,現地での調査研究を実施する。 国内に置ける調査研究は,一定の進捗が見られたが,地価動向の調査に加えて,今後は自治体や鉄道会社へのヒアリングなどを通じて研究のレイヤーを深めていきたい。また,類似した研究に取り組むデンマーク・オールボア大学の研究者が,日本に渡航して調査研究を実施しており,過日知己を得たため,こうした海外の研究者と共同した国内調査も今後進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航を実施しなかったこと データ分析・データセットの納品が,仕様の調整に時間を要し,2022年4月にずれ込んだため
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